第38話

――――……


滝川の怒りが今にも爆発しそうな医局から出てエレベーターに乗ると部長クラスの男性が後から乗り込む。


その二人は俺の名札を見るなり少し驚いた表情をして一礼する。


そんな毎日を俺はこの場所で送っている。



「どちらに行かれますか?」


俺はその男性二人に声を掛ける。



「あ、私たちはエントランスで。」



そう言われて俺はエントランスと表示されたボタンを押した。



すると小声で男性の一人が恰幅の良い男性に声を掛ける。



「浜崎部長、誰かと待ち合わせですか?」



「ああ、娘と昼食の約束をしていてね。」


ふうん、娘とランチね……、仲の良い家族なんだ。


聞き耳を立てて聞いていたわけではないけれど俺は浜崎という苗字がなぜか気になった。

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