第36話

「……俺が見ただけ。」


そう言うと彼は少し首を傾げた。


「ほら、いつだったか残業を終えて一課のフロアを歩いていたらお前の姿が見えて、声を掛けようとしたら……。」



「もういい。」


言い掛けてる途中で遮られてしまった。



「だから、なに?諏訪はあのコとどういう関係?」



「はい?」



「好きという事?」



「ま、まさか!」


好きもなにも名前だって知らない。


……あ、



「……そう。」


滝川はそう言うと身体をデスクに戻してパソコンの画面に視線を落とした。



そうか、



そうなんだ……。

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