第11話 合格発表

俺たちは合否発表を見た。


そしてらまさかの不合格。


「おいトーマス!

 お前、受かったのか!?」


「ああ。お前に負けはしたが、他の2戦は勝ったからな!」


トーマスが受かってなぜ俺が落ちる!


わけがわからん!


確実に俺のほうが上だろうて!


「ま、まさかお前、落ちたのか!?

 2勝しているだろう?

 しかも、この俺様を下して。

 もしや、あの3戦目の降参がマイナス評価を受けたか?」


そんなはずはない。


プロの試験官から見れば、俺が勇者に勝てないのは明白だったはず。


降参がマイナス評価になるにしても、それだけで不合格になるわけがない。


そうだ、ジェラルドのやつはどうだ?


「おいジェラルド!」


「やあやあ、君、落ちたんだってね?」


ジェラルドは俺が気絶させたが、もうすっかり治っている様子だ。


「うるせえ!

 それよか、お前は受かったのか?」


「ああ。俺は1勝1分け1敗だったが何とか受かったよ。

 それより、『お前』はないだろう?

 俺はこれでも王族なんだぜ?」


くそ、なぜ1勝ぽっちのこいつが受かっていて2勝の俺が落ちる!


しかも、なに?王族だと?


コネで受かったんじゃなかろうな?


「なにが王族だ。

 コネで受かったんだろう、どうせ!」


「なな!なにをいうかこの下衆め!

 私は第13王子・ジェラルドだぞ!

 試験に落ちるのが王族の恥だからと、コネを使ってまで無理やり受かるようにするなど、するはずがない!」


こいつ、今全部を白状した気がするんだが・・・。


まさか、こいつが合格になったために俺が代わりに不合格になったのではなかろうな?


俺は、俺の合否が書かれている掲示板をよーーーく見た。


すると!


掲示板の『不合格』の文字の右上にはがれかけた紙がペラペラと風になびいてめくれているではないか!


俺はジェラルドを押しのけ、その掲示板のはがれかけた紙をぺりっ!とはがした!


すると、そこには『合格』の文字があるではないか!


「おい!これはどういうことだ!

 まさか、ジェラルド!

 お前の仕業か!」


「ひいい!

 俺のコネ合格の代わりにお前を引きずり落としたってか?

 そんなわけないだろう?」


そう言えばこいつ、俺の顔を見るなり「君、落ちたんだってね?」と言っていた。


なぜ、俺が落ちたことを知っていた?


落ちたことを知っているのは俺とムイラとトーマスだけだったぞ?


「お前、なぜ俺が落ちたことを最初から知っていた?

 俺が落ちたことに仕立てたのは、すべてお前の仕業だからだろう!」


「ぐぬぬぬ・・・。

 まあいいさ!誰の仕業か知らんが、お前は合格ということにしてやる!俺の権力でな!

 だからこれ以上何か文句を言ってみろ?

 今度こそ俺の権力で不合格にするぞ!」


俺がやりました、と白状しているようなもんじゃねえか・・・。


まあ、これ以上の追及はやめよう。


これ以上追求しても俺にも得は無いしな。


「まあ、俺を合格にするならお前の悪事はひとまず見逃してやろう。」


「ふう・・・。」


ジェラルドは自分の悪事が追求されないことに安堵したのだろう、深いため息をついた。


すると、ジェラルドに声をかける人物が。


「どうした。我が盾、ジェラルドよ。

 お前にお友達とは珍しい。」


勇者だ。


やっぱりこいつ、性格悪いし友達いねえんだな。


ってか我が盾ってなんだよ。


「ジェラルドが勇者の盾ってどういうことだ?」


勇者が答える。


「ああ。勇者を守るための戦士が王族から1人選ばれることになっていてな。

 それがジェラルドというわけだ。

 こいつのスキルは『不滅の盾』。1方向からの攻撃であれば、どんな攻撃も防ぐ。

 私の背中を預けるのにうってつけだろう?」


なるほど、やはりそう言う能力だったか。


どおりで、俺のスライムパンチを受け流したわけだ。


「勇者様、俺のスキル、ばらさないでくださいよー。」


「おっと、失礼。

 友達なのだからもうすっかり知っているものだと思ってしまった。」


「こいつらは友達じゃないっすよ!

 おえーーー!」


このヤロウ・・・。


友達なんてこっちから願い下げだっつーの!


すると、勇者の腰付近から声がした。


パンティのパンテオンだ。


「クリスタルよー。

 勇者の盾なんかいらねえだろ?

 俺のパンティガードがありゃ、背中だろうがなんだろうが守ってやるぜ。

 このジェラルドとかいう男、スキル頼りのポンコツだぜ。

 俺にはわかる。」


パンテオンは辛らつな言葉をジェラルドにぶつけた。


「パンテオン様ー、そりゃないっすよー。」


ジェラルドはたじたじだ。


「ははは。パンテ、そう言ってやるな。

 ジェラルドも私の盾として日々鍛錬し、頑張ってくれている。

 まあ、性格はクズだがな!」


「勇者様までー!」


俺はジェラルドが滑稽で、思わずクスっと笑ってしまった。


「貴様!なに笑っていやがる!

 俺を笑っていいのは勇者様とパンテオン様だけだー!」


おっと、笑っていたのがバレてしまった。


「それにしたってツグク。

 なぜ未だに能力を解除しない?

 そのスライム状の装甲、ずっとしているではないか。」


まずい、またしても勇者に突っ込まれた。


今は解除できない、ムイラの存在がバレるからな。


さっき解除しておくべきだった・・・。


「あ、ああ。ひんやりしていて気持ちがいいんだ。

 ほら、触ってみるか?」


「い、いやあ、遠慮しておこう。

 なるほどな。遮熱効果があるとは、スライムにも使いようが色々あるのだなあ。」


ふう、適当な嘘で乗り切った・・・。


こうして、俺たちはなんだかんだでみんな合格し、一緒に学園ライフを過ごすこととなった。



==== 作者あとがき ====


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