第15話



しかし、アンジュは見慣れているのか、俊也の笑みを歯牙にもかける様子はない。




「……俊也?」



「はい?」



「貴方も、まるで猛獣ね?」



獰猛な獣。



敵に牙を向き、食らい付く。




危険な番犬。




「ふっ、その通りなのかも知れませんね。」



くつりと、俊也が微笑んだ。




「こんな自分は、嫌いですか?」



「いいえ?でも、」




言葉をつぐんだ彼女は、俊也を見上げる。

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