第2話 君の名前を教えてほしい
木製で組まれた天井、ランタンが一つぶら下がっている。ランタンは埃を被っておらず丁寧に掃除されていることがわかった。隣をみるとタンスに地球儀。窓からは大きな入道雲が見れた。そんな新しい環境で彼は呟く。
「知らないてんじょーだ…」
「これから毎日みることになるさ!」
「!?!?」
聞かれていると思ってなかった。
「団長元気すぎるって」
「さっきまで気を失ってたからし、静かにしてあげないとね?」
「すまん!!!!!!!!」
「「だーかーらー!」」
困った顔する二人になぜか照れている団長と呼ばれている女性。長い銀髪、自分と同じ髪色で親近感が湧く。そんなことを考えていると、彼女の瞳が自分の顔を映すぐらい近くに来ていた。
「ち、ちかいです」
「それほど君と仲良くなりたいということさ!早速だけど…君、名前を教えてくれないか?」
「名前…」
彼は顎に手を置き考える。名前、なまえ…何故か自分の頭に霧が立ち込めているような感覚に陥り、思い出すことができない。
「わかんない」
「なるほど。これは困った」
「はいはいはいはい!」
「どうしたリナ」
「私たちがつければいいと思いまーす☆なんか自信あります私。やれます、やらせてください!」
団長と同じくらい元気のある桃色の髪の女性。
髪の長さはセミロングほどで外側にカールが巻かれている。
「ずばりぃ〜オセロ!君は今日からお、せ、ろです!」
「ほう、いい名前だな!」
「いやなんで
「さっきまでやってたから!」
「おっけー。もう喋んな」
「え?エリックが黙りなよ☆」
「「あ?」」
「け、喧嘩はだめ!」
「はっはっは!」
喧嘩する二人の仲裁に入る子供のような見た目の少女。自分よりは年上だろうが年齢は近いと感じる。
「うーん、だがオセロは直球すぎるな」
「じゃ、セロっていうのはどーよ?」
「あ、いいね」
「んまあ及第点、かな。エリックにしてはそこそこやるじゃん☆」
「なんでおめぇはずっと喧嘩腰なんだ?」
「喧嘩じゃないよ?ただいじめているだけ!同じレベルじゃないと喧嘩は起きない…!」
「よし、表出ろ」
「はっはっは!」
この流れに既視感を覚えたセロであった。
☆
「えーじゃあセロ。年齢は分かるか?」
「わかんない」
「だろうな、薄々感じてた」
「はい!はい!はい!はい!」
「よしリナ、かませ!!」
すでに疲れているように見えるエリックという青年。苦労人であることが楽に察せられる。
「はい、だんちょー!彼はスバリ8歳です!」
「ほう…その根拠を教えてくれるか?」
「今日が八日だからですよ!運命です☆」
「その運命、一年に12回来てるぞ」
「だまっとけ、ひげ」
「ひげは悪口じゃないだろ!」
ただセロの見た目が幼いため、8歳ほどであるように感じる。そのため、無茶苦茶な理由だが年齢は8歳であると結論づけた。本当にそれでいいのか…?
「じゃ次はこっちの番だな」
茶髪の青年が椅子から立ち上がって頭をかく。そして服装を整えてセロに話しかけた。
「俺はエリック・グレアム。この船の操縦士にして副団長。ま、チーフオフィサーってことだな。」
そう話す苦労してそうな茶髪の青年。腰には剣を二本剣を刺しており、どちらも業物であると鞘だけで見て取れる。少し伸びたひげがチャームポイントらしい。
「次はわたし!」
セロの名付け親であること女性。身長と同じぐらいの大きなマスケット銃を背負っている。
「私はリナ・ダーツ!この船の銃士だよ!大砲とかバンバン撃っちゃうんだぞー☆」
身長はエリックと比べ頭一個分ちっちゃい。スタイルは抜群だと子供であるセロでもそう思うほど、女性らしい体つきをしている。
「次はわ、私ですね…」
髪の毛を手でねじりながらセロを見つめる。紅い瞳持つ彼女は、幼い見た目ながらも神秘的な印象があった。
「わ、私はソフィア・リリック…。この船の学者でろす。こう見えて25歳だからなんかあったら、頼ってね。」
白髪の姫カットというべき髪型を揺らす少女。見た目的に年齢が近いと勘違いしていたため、自分よりずっと大人であることに驚いた。
「そして私が団長!」
凛とした声でそう話すこの船の頭。エリックと同じように剣を腰に携えているが、彼のものと比べ巨大であった。
「アリス・ルド・マーガレット!よろしくな、セロ!」
一番背が高く可憐という言葉がよく似合う女性。しかし、中性的な顔立ちとスレンダーなスタイルからセロは勘違いしてしまった。
「だんちょうさんは女の子?それとも男の子?どっちですか?」
「ふふ、私は女の子だぞ?」
そうセクシーポーズして腰をくねられるアリス。しかし、
「そっか、お胸がなかったのでわかりませんでした…」
ピキッと石化したかのように固まるアリス。
「こら!セロくん、そんな言葉女の子に言っちゃだめでしょ!」
一番スタイルのいいリナがそう話す。
「団長は他にも魅力があるんだから!女性の美しさは胸だけじゃない!ね、だんちょー?」
「…」ショボン
「お前が言うのは悪意あるよな」
「コクコク…」
「えー///」
確信犯である。ただ、セロはこれをきっかけに誰が本当に恐ろしいか身にしみることとなった。
「セロくん。」
ソフィアにそう話しかけられる。後ろには竜のようなオーラが見る。本能があれはやばいと警鐘を鳴らすが足が震え動けない。
「相手に、言っていいことと、悪いことがあるというのをこれから一緒に学んで行きましょう、ね?」
スタイルで一番悩んでるソフィア。セロは完全に虎の尾どころか竜の尻尾を踏んでしまったのだ。
「ご…ごめんなさい…」
「わかってくれればいいのですよ。」
「やっぱソフィアが一番こえーや。」
「「間違いない。」」
珍しく意気投合する団員達であった。
☆
「よし!実はもう3人いるんだか…2人は買いだし、1人は仕事でいない。まあ、すぐ紹介できると思う」
パンと両手を叩いてまとめ上げる団長。キリッとした表情を作り、蒼い目でセロをみる。その目はとても澄んだ青空のような目であった。
「私たちは国家公認軍隊第3飛空艇団バビロン。主な仕事は救出と魔物討伐。他には資源の回収や他国との交渉など様々に渡る」
「セロ。君は今日から私達の一員となる。ただ正式に団員と認めるわけにはいかない。年齢だけでなくまだ実力がないからね!」
「だから見習いだ、セロ。君は第3飛空艇団バビロンの見習いとして家事の仕事をやってもらう。もちろん、私達もできるだけ協力するさ」
アリス・ルド・マーガレットは大きく息を吸う。そして口を大きく開いて話す。
「歓迎しよう。ようこそ、我らの船バビロンへ」
セロの前に出された手。何をするべきかは彼自身理解している。
ベッドから降りて身なりを整える。そして、アリスの目を見て明朗快活に告げた。
「これからよろしくおねがいします!」
そう言って手を握るのであった。
「この状況セロにとってはまさに乗りかかった船だな!」
「なんですか?それ」
「もう誰も知らない昔の言葉さ」
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