第11話




ゆっくりと距離が縮まる。あともう少しで手が届く、そう思った瞬間。

カチャッという音と共に、向けられた銃口に思わず足を止めた。


「動くな」


帝王の後ろから、慌しい足音が聞こえてきた。

ほんの少しだけ、そちらに気を取られた帝王の隙を見つけた烏は、素早く距離を取る。





「四季!」



少しの焦りを感じさせる、そんな声が聞こえた。

帝王のすぐ後ろから現れたのは、右京と黎二だった。




「四季!単独行動なんてしないでください!

もう少し自覚を持ってください!

あなたに何かあったらどうするんですか?!」




「しーきー、なーに1人で面白そうな事してのー?」




と焦った声を出す右京と、その反対に楽しそうに帝王の肩に手を乗せる黎二。


また厄介な奴等が来た、そう思った烏はあちらの動向を伺いながらも、少しずつその距離をとった。


が、こちらに気付いた2人が驚きのあまり目を見開いた。





「か、烏ですか?」



「へー、俺、烏なんて噂だけで初めて見たわ、

烏さんよー、喧嘩が強いってほんと?

俺とやろーぜっ!」



そんな事を言いながら近付こうとした黎二だったが、




「やめろ」



帝王のその一言で足を止めた。





「烏、話の途中だ、

さっきの俺の問いには答えないつもりか?」



「......」



「え、何々、2人って知り合いだったの?」





なんてばかみたいな発言をする黎二とは裏腹に、

右京は困惑の表情を浮かべていた。






「お前の目的はなんだ?復讐なのか?

ならばやめろ、俺はお前をずっと探していた。」




「戻ってこい、お前の居場所はそこじゃない。」



もう一度烏へと手を伸ばそうとしたその時、







「、、、ふふっ、、、はははっ、、、」



 

とても楽しそうな、そして不気味な笑い声が静かに響き渡る。

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