第7話:学食へゴー!

 朝礼の時間になり担任の佐藤先生がきたことで、僕はなんとか解放されることに成功した。


 まぁ、みんな別にいじってるだけで、優しいってのは昨日の時点で分かってるからね。


 2人くらい殺意高かったけど……ま、まぁあれも嘘だろう!


 そこから四時間、授業という名の先生たちの自己紹介とかがあって、あっという間に昼休み。


 うちの高校は、来週までは学校に慣れようみたいな期間で、お昼休みが終われば清掃をして下校である。


 お昼休みがあるのは、クラスでの親睦を深めてほしい、と昨日、佐藤先生が言っていた。


「蒼汰ー! 一緒食うかー?」


 祐希くんが、凪くんや、昨日クラスの学級委員長になった早乙女さおとめかけるくんとともに誘ってくれる。


 彼は、いわゆるクラスのリーダー的存在。


 イケメンで運動神経抜群、誰にでも優しくてモテる人ランキングがあれば堂々の1位になるような人である。


 あと、どうやら凪くんとは、小学校からの付き合いらしい。


 僕もせっかくだし仲良くしたいんだけど──。


「ごめん、今日は学食に行こうって昨日話してたから……」


「あー、彼女と?」


「違う!」


 祐希までいじりだしたよ……ただのネッ友なのに!


「ま、そういうことなら仕方ないね。また明日にでも」


「ありがとう早乙女くん!」


 僕は誠実に返してくれた早乙女くんに感謝を伝えながら、2人を連れて食堂に向かった。


 ◇◆◇


 高崎高校の食堂は、休日には市民も利用できるような綺麗な作りとなっている。


 綺麗なだけでなく、飲食スペースはかなり広く、メニューの数も飽きないくらいにある。


「──って話だったけど、これは想像以上だね」


「で、デザートもある!」


「わたし、あの唐揚げ定食する……」


 か、唐揚げ定食……!? この食堂で一番量が多かった気がするんだけど……。


「だいじょーぶ。わたし、食べるの好き、だから。大食い選手もにっこり」


「競争相手増えてびっくり、だと思うけど……」


 僕の心を読んだのかってくらい、えいなは的確な返しをして、エッヘンと胸を張る。


 あ、ネット越しとはいえ何年もやってきたから分かったのかな。


 と、そこで、えいなの様子を見たきりが一言。


「胸を……張る……?」


「……む。ひんにゅーとでも言いたげな」


「いや、まぁ……ねぇ」


 おいいいいい!! なんてこと言ってのきり!


 僕もちょっと思ったけど、普通言わないもんでしょ!!!


「このぼでぃが刺さる人もいるから」


「うん、えいなはえいなで何言ってんの!?」


「それに……いっぱい食べてるし、すぐ育つ」


「あんまり食べてない私でもこんくらいあるけど……」


 そう言って、きりは自分の胸を手で持ち上げ──。


「うん!! 学食買いに行こっか!!!」


「「はーい!!」」


「あと! 君たちはちゃんと学校ってことを理解しなさい!!」


「「してるよ?」」


「してない!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る