第37話 亀次郎、タイの恋愛リアリティショーに出演!しかし、昭和の恋愛観が通用しない!?
バンコクの喧騒の中、瑠奈のアパートでは、一風変わった共同生活が繰り広げられていた。Z世代の瑠奈、彼女の頭の中に住む戦国武将・山田長政、そして、ひょんなことから昭和からタイムスリップしてきた江戸っ子・亀次郎。三者三様の価値観がぶつかり合いながらも、奇妙な友情を育んでいた。
ある日、亀次郎に転機が訪れた。テレビ局のプロデューサーが、瑠奈のアパートに取材に訪れたのだ。瑠奈の奇妙な同居生活を知ったプロデューサーは、亀次郎の個性的なキャラクターに目をつけ、恋愛リアリティショーへの出演をオファーした。番組名は「愛の楽園バンコク」。豪華なヴィラで共同生活を送りながら、真実の愛を探すという、タイで人気の番組だ。
「おいおい、俺がテレビに出るってのかい!?」
亀次郎は目を丸くして驚いた。
「そうよ!亀次郎なら、きっと人気者になれるわ!」
瑠奈は、目を輝かせながら言った。
「むむ…恋愛リアリティショーとは…興味深い。わしも、この目で現代の恋愛模様を拝見したいものじゃ」
長政も、乗り気の様子だった。
こうして、亀次郎は、恋愛リアリティショー「愛の楽園バンコク」に出演することになった。
愛の楽園バンコク:亀次郎、参戦!
撮影当日、亀次郎は、瑠奈とソムに見送られながら、リムジンに乗り込んだ。豪華なヴィラに到着すると、すでに多くの参加者が集まっていた。
「よっ!江戸っ子の亀次郎、参上!」
亀次郎は、ド派手な浴衣姿で登場し、他の参加者たちを圧倒した。参加者たちは、亀次郎の個性的な外見に驚きを隠せない様子だった。
女性参加者たちは、皆、若くて美しく、スタイル抜群だった。彼女たちは、亀次郎に興味津々で、積極的に話かけに来た。
「サワディーカ!亀次郎さん、浴衣姿素敵ですね!」
「亀次郎さん、何歳ですか?」
「亀次郎さん、好きな女性のタイプは?」
女性たちからの質問に、亀次郎はタジを食らいながらも、得意の江戸っ子口調で答えた。
「へへっ、お嬢ちゃんたち、俺のこと気に入っちまったのかい?まあ、この亀次郎、顔は悪くねえし、腕っぷしも強いんだぜ!」
亀次郎の自信満々な発言に、女性たちは一瞬たじろぐが、すぐに笑顔で応じた。
「亀次郎さん、面白いですね!」
「亀次郎さん、もっとお話聞かせてください!」
亀次郎は、あっという間に女性参加者たちに囲まれ、モテモテになった。
「むむ…これは意外じゃ。あの男、見た目は古臭いが、女性には人気があるようじゃな」
長政は、少し悔しそうに言った。
しかし、亀次郎のモテ期は長くは続かなかった。
昭和の恋愛観は通用しない!?
亀次郎は、女性たちとデートを重ねるうちに、現代の恋愛観と昭和の恋愛観のギャップに苦悩するようになった。
ある日、亀次郎は、プールサイドでくつろいでいる美女・マイに、得意の口説き文句を炸裂させた。
「お嬢ちゃん、その水着、なかなかセクシーじゃねえか!俺と、熱い夜を過ごさないかい?」
亀次郎の言葉に、マイは凍りついた。そして、一言だけ言い残して、その場を去ってしまった。
「キモい…」
「瑠奈よ、今の発言はまずかったぞ!現代では、女性に対してそのような直接的な表現はNGじゃ!」
長政が、慌てて注意した。
「えー、なんで?昭和の男は、みんなこうやって女を口説いてたぜ!」
亀次郎は、納得できない様子だった。
「時代は変わったのよ、亀次郎!現代の女性は、もっとスマートでロマンチックなアプローチを求めているのよ!」
ソムが、亀次郎に現代の恋愛事情を解説した。
亀次郎は、ソムの言葉に、ショックを受けた。
「まさか…俺の昭和の恋愛観は、もう通用しないのか…?」
亀次郎は、落胆し、自信を失ってしまった。
亀次郎、純粋な愛を求めて奮闘!
しかし、亀次郎は諦めなかった。彼は、現代の恋愛事情を学ぶために、瑠奈やソムにアドバイスを求めたり、恋愛指南書を読んだり、恋愛ドラマを観察したりした。
そして、亀次郎は、あることに気づいた。
「現代の恋愛は複雑に見えるけど、結局は、相手を大切に想う気持ちが一番大切なんだな」
亀次郎は、純粋な心を取り戻し、再び女性たちとの交流を深めていった。彼は、女性たちの話を真剣に聞き、彼女たちの趣味や考え方を理解しようと努めた。そして、彼の不器用ながらも誠実な姿は、徐々に女性たちの心を溶かし始めた。
「亀次郎さん、意外と優しいんですね」
「亀次郎さんの話を聞いていると、心が安らぎます」
「亀次郎さん、頑張ってください!」
女性たちからの応援に、亀次郎は勇気づけられた。
そして、ついに、亀次郎は、一人の女性に心惹かれるようになった。
亀次郎、恋の成就!?
それは、番組の後半に加入した、ナームという女性だった。ナームは、清楚で優しい性格で、いつも笑顔を絶やさなかった。亀次郎は、ナームの笑顔に癒され、彼女と一緒にいると心が穏やかになるのを感じた。
亀次郎は、ナームに、自分の気持ちを伝えることを決意した。
「ナームさん、俺、あんたのことが好きだ!俺と、付き合ってくれないか?」
亀次郎の言葉に、ナームは驚いた様子だったが、すぐに笑顔で答えた。
「亀次郎さん、私も…あなたが好きです」
二人は、抱き合い、キスをした。
「やったー!亀次郎、おめでとう!」
「よかったね、亀次郎!」
瑠奈、ソム、そして、長政も、亀次郎の恋の成就を祝福した。
番組は、亀次郎とナームのカップル誕生で、幕を閉じた。
番外編:亀次郎、インスタグラムを始める!
番組出演をきっかけに、亀次郎は、一躍有名人になった。彼は、瑠奈のアドバイスで、インスタグラムアカウントを開設し、日々の生活やナームとのデートの様子などを投稿し始めた。
「おいおい、これがインスタグラムってやつか!なかなか面白いじゃねえか!」
亀次郎は、スマホを片手に、楽しそうに写真を撮り、動画を投稿していた。
彼の不器用で、どこかコミカルな投稿は、多くのフォロワーを獲得し、人気アカウントになった。
「亀次郎さん、いつも投稿楽しみにしてます!」
「亀次郎さんとナームさんのカップル、応援してます!」
フォロワーたちからの温かいコメントに、亀次郎は感激した。
「瑠奈ちゃん、ソムさん、長政さん、みんなのおかげだ!本当にありがとう!」
亀次郎は、現代のテクノロジーと、周りの人々の優しさに支えられながら、新しい生活を楽しんでいた。
そして、彼の心の中には、いつも、昭和の日本への郷愁と、ナームへの愛情が、温かく灯っていた。
亀次郎の物語は、時代や文化を超えて、人々の心を繋ぐ、愛と友情の物語である。
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