Secret Of Sky World

絵真

スカイ・エントランス

第1話 始まり

僕の名前は宇賀神玲うがじんれいです。

東大首席という奴ですが、それにも飽きてきた今日この頃です。

授業は僕の知っている事実ばかりを話しますし、SFサークルの活動も楽しくはありません。


僕はその日も単位を確定させると、早々に大学を後にしようとしました。


その時、SFサークルのメンバーである志田聡しださとしに呼び止められました。


「宇賀神君。

君に折り入って頼みたい事があるんだ…」


彼は死んだ様な真っ青な顔つきでそう言いました。


「何ですかー?」


「カフェテリアで話すよ。

ここじゃちょっと…

もちろん奢るから。」


「それはそれは…

では、お言葉に甘えて…」


僕はカフェテリアに向かいました。

いや、僕たちは。


奥の席が空いていたので座り、適当に注文をすると、彼は話始めました。


「僕の事は知ってるよね?」


「えぇ、まぁ、SFサークル所属でSF小説が一本だけ当たったんでしたね、確か。」


僕は事実を話します。


「はは…

そうだね。

じゃあ、自己紹介は省くとして…


実は君に頼みたい事と言うのはをやって欲しいという事なんだ。」


「あるゲーム…?

僕にゲームのレビューをしろという事ですか?

それとも、YouTubeか何かでそのゲームを宣伝して欲しいとか?」


「違うんだよ…

Secret Of Sky World…


そのゲームの名前だけどね。

普通のゲームじゃ無いんだ。

これ。


プレイヤーをゲーム世界に引き込む、悪魔のゲーム…」


「はぁ?

あなたSF小説の書きすぎなんじゃないですかぁ?」


僕は言います。


「本当なんだ!

嘘だと思うなら、それこそやってみてくれ!」


「まず…

本当だと仮定して、僕にそれをやらせる意味が分かりませんね。

ご自分ですればいいんじゃないですか?」


「そうはいかない…

実は…

僕の彼女はゲームオタクでどこからか入手したこのゲームをやってしまったんだ。

それから、彼女は行方不明に…

いや、ゲームの中に居る事は間違い無い!

でも…

僕には彼女を助け出す事は出来ない…


君に頼むしか…」


「待ってください…

まさか、僕にゲームをさせたら、あなたの彼女は現実世界に戻ってくる…?とか?」


「そうだよ。

さすがだね、宇賀神君。

説明する前から予測するなんて。」


「つまり、僕は彼女を助ける生贄って事ですか?」


「ま、まぁ…


で、でもさ、君だって現実世界に退屈しているし、本当かどうか信じていないなら、試してみたって良くないかな!?」


「…そのゲーム今あるんですか?」


僕が言うと彼はカバンを漁りました。


「コレだよ!」


僕はそのゲームソフトを手に取ります。


空の絵に、Secret Of Sky Worldと、書いてあります。


僕は少し迷った末に、この依頼を受ける事にしました。

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