中篇ライトノベルを書こう!~初心者作家、ラノベの知識で成り上がる~

沼津平成

第1話 新人賞通過! しかし…

「――というわけで、北川優美小説大賞、最優秀賞は、谷川岳たにがわがくさんで~す!」

 まるで選挙演説だ。高いところに立っているのは若い女性アナ、井海恵子いうみけいこである。

 井海の人気は言わずもがな知られていて、中でも谷利たにとしナントカという男と結婚したのは大々的に報じられ、一時は大手ゴーグルの検索ワードの三位に入り込んでいた。

 そんな井海に自分の健闘を報じられて、谷川岳は思わず跳んだ。

 隣にはライバルの小山内がいた。しかし彼は1次選考も通らず、たった1行きりの選評にはこう書いてあった――「面白さ皆無。設定に既視感あり。」


            *


――2週間後。


 校正の末、谷川岳著、「永い海を渡れ」は大手、親潮文庫おやちょうぶんこから刊行された。1年目は駆け出し作家としての意味もあるのか、印税はすさまじい勢いで伸びていき、岳は598万円なる大金を獲得した。

 隣にはやはり小山内がいて、小山内はぶつくさいいながら小説投稿サイトの印税426円をしげしげと眺めていた。

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