第4話・天使と悪魔のハーフ。

「もっと時間が必要だよ・・・少しづつお互いを知らなきゃ」

「マラソンだっていきなりゴールはできないだろ?」


「つまんないの」

「ほんと言うとね・・・私、天使と悪魔のハーフなの」

「お父さんが悪魔でお母さんが天使・・・禁断の関係だけど、お父さんと

お母さんが愛し合ちゃったんだからしかたないよね」


「だから私いじめに遭っちゃって・・・ここにいたら、あたなが苦しむだけだから

あなたは別の世界で生きて行きなさいってお母さんが・・・で、あの魔法陣を

描いてくれたの」

「他の世界に行って好きな人と生きていきなさいって・・・」

「私もいつかはひとりで生きてかなきゃいけなくなるからね」

「だから私、人間の世界に来ることにしたの」


「だけど、どこの世界に行っちゃうかは行ってみたいと分かんないの」

「次元を超えるのは掛けみたいなもの」


「そんないい加減なことして大丈夫なのか?」


「う〜ん、大丈夫じゃないかも・・・」

「時々とんでもないところに出ちゃう子もいるみたい」

「人が住んでない惑星とか・・・無人島とか・・・」

「そんな誰もいないところに行っちゃったら私、孤独で寂しくて死んじゃう」


「てか・・・ケイちゃん思ったより冷静に私の話聞いてくれるんだね」

「普通・・・こんなことありえないってパニクるよ?」

「もっとどひゃ〜って驚くところだよ・・・この状況って・・・」


「まあ、驚きはしたけど・・・俺はファンタジーとかゲームとかやってるから

予備知識があるから抵抗なく受け入れられたんだと思う・・・」

「驚くより?・・・まだ信じられない気持ちのほうが勝ってるけどね」

「ゲームの世界とかだと君みたいなキャラ珍しくないし・・・」


「ゲーム?・・・ってなに?」


「え〜とゲームは、ゲーム」


「あのね、これから私が分からないことや知らないことはケイちゃんが

責任持って教えてね、私ウブだから・・・それにこれから一緒に暮らす

んだし・・・」


「え?暮らすのか?これから・・・俺と?向こうに帰らないのか?」


「ケイちゃんいい人そうだから、しばらくお世話になろうかと思って」

「ケイちゃんに彼女とか奥さんとかいないんだよね」


「うん、まあいないな、情けないけど・・・」


「私がいたら迷惑?」


「いや、迷惑じゃないけど・・・むしろ女の子が部屋にいるって部屋の

空気感いいふうに変わるからな・・・」

「ベルが来てから俺の部屋、芳香剤買ってきて置いたみたいな爽やかな

匂いしてるもん」


「じゃ〜いる」


なわけで、ベルは今日から俺と暮らすこと決定。

俺としては人間の女性じゃない存在に未知の期待と新鮮さを感じていた。


「あのね、早速なんだけど・・・私、すっごくお腹すいてるの・・・

なんでもいいから食べさせて?」

「言っとくけど私、料理とかできないから」


「昨日のレトルトカレーの残りならあるけど・・・」


「そのカレー?とかでいい・・・」

「で、ケイちゃんは私を食べたかったら、いつでも食べちゃっていいから・・・」


「お〜っと待て待て・・・どさくさに紛れて俺のスケベ心を逆なでするような

こと今、言ったよな?」


「家賃代わりだって思ってね・・・タダで住まわせてもらうんだから、そのくらい

しなきゃ・・・」


「さっきも言ったけど、そう言うのはお互い愛情が芽生えてから」

「愛情のないセックスなんて風俗に行くようなもんだよ」


「なに?風俗って?」


「風俗?・・・・風俗ってのはベルみたいなエッチなフェロモン出しまくってる

おネエちゃんがいるとことだよ」


「なに?出しまくってるって・・・私、エロいフェロモンなんか出してません」


「エロいなんて言ってないよ、エッチいって言ったんだよ」


「そんなの同じだよ」


「どっちにしたってエロいしエッチなんだよ」

「そう言うのって体から滲み溢れるんだ」

「そんな制服着て・・・」

「しょうがないでしょ、私現役の女子高生なんだから」


「え?まじで?ベル、本物の女子高生なの?・・・コスプレとかじゃなくて?」


「なくて、なくて・・・現役」


「なんだてっきり俺を挑発するために制服なんか着てるのかと思った」


「まあ、それにしたって夢魔なんか相手にしたら、ヤバいことにならないか?」

「エッチしてる最中に気持ち良くなりながら食われるとか・・・地球上にない

ようなへんなウイルスとか病気なんか移されるとか?」


「ひどい!!」

「なに言ってるの・・・ウイルスってなによ、人をバイキンみたいに」


「ん〜ま、どっちにしたってこれってエッチなんかしたら異種格闘技だろ?」


「また〜もう分かんないこと言ってる」

「そんなことどうだっていいよ・・・もう知らない」


「スネたのか?・・・女子高生なんて人間も夢魔も一緒だな」


「・・・・疲れちゃう」


「・・・・お、そうだ腹減ってるんだろカレー食えば?・・・」


つづく。


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