第3話:解放されたかったの。

ベルベットが言った「スクブス」て言うのは、まだサキュパスになっていない

年齢の悪魔のことらしい。

人間で言うと未成年。


サキュバスの階級分類は上下の位によって分けられる。

成人での階級の一番下が「レッサー」続いて「インフェリア」上級にあたる「エルダー」や最上級の「クイーン(サキュバス)」等がいる。

ベルベットはまだ未成年だから「クスブス」ってことになるらしい。

彼女は最終的に「ベビー・クイーン」になるんだそうだ。


彼女がサキュパスになるためには男のエナジー「精力」を吸い取らないと

いけないし・・・またエナジーがないと彼女たちは生きていけないのだ。


だから人間の男や異世界の異性を求めて次元を超えてやって来る。

一人の男のエナジーを吸い尽くしたら、次の男のところに現られる。

まあ人間の男のエナジーが彼女たちにとっては必要不可欠な食料ってところか。


だけど、ベルベットは今回、俺のところに初めて来たらしい。

人間で言うなら、まだ処女?


「ベルベットちゃん、これから君のこと、ベルって呼んでいいかな?」


「うん、いいよ」

「じゃ〜私はケイスケのことケイちゃんって呼んでもいい?」


「いいよ、ベル」


「ケイちゃん・・・うふ」


「てかさ・・・俺、理解できないんだけど・・・そもそもなんで俺んちに

やって来たの?」


「そうだよね・・・知りたいよね、その理由」

「あのね、特に理由はないけど・・・退屈で窮屈な日常から解放されたかったの」


「それで俺のところに来たってわけか?」


「うん、それだけ・・・それだけだよ、特別な理由なんてないよ」

「でも、よかったケイちゃんがいい人そうで・・・」


「それはどうかな・・・そうじゃないかもしれないじゃないか?」

「俺が悪い男だったらどうすんだよ」


「もしケイちゃんが非人情で極悪人で変態で変質者だったら私、押入れから

向こうの世界に帰っちゃうから・・・」


本当はベルは啓介からエナジーを吸い取るつもりで彼の元にやってきたのだ。

ただし自分が好きになった男のエナジーじゃないと体が拒否反応を示すらしい。

愛に満たされた男のエナジーこそがベルをいい女にして行くのだ。


「非人情で極悪人で変態で変出者じゃないよ、俺はそこまでひどい男じゃ

ないからな・・・変態ってのは当たってるかもな」

「だから安心していいよ・・・」


「だったら、ここにいてもいい?」


「そうだな、俺には彼女もいないし嫁もしないから、とくに問題はないけど」


「じゃ〜いいのね・・・よかった」

「私、ケイちゃんのこと好きになれるよう頑張るから・・・」


「そう言うのって相性だからな・・・生理的にダメな人はうまくいかないだろ?」


「大丈夫だよ・・・私、生理的にもケイちゃんをきっと好きになるから」

「もっとフレンドリーになればいいんだよ」

「もっと触れ合うとか・・・スキンシップが大事なんだよ」

「たとえば毎日ハグしてチューするとか・・・」


「何言ってんの?・・・チューって?」

「いやいやそれって逆だろ?そう言う行為はお互い好きになってからだろ?」


「イヤ?私とハグしたりキスするの?」


「イヤじゃないけど・・・つうかさベル、齢いくつだ?」


「歳なんて関係ないから・・・」


「とにかく、どう見たってまだ未成年だろ?」

「人間の世界じゃ、未成年はダメなんだからな・・・」


「え?未成年はキスしちゃいけないの?ハグも?」


「あ・・・ハグもキスもいいのか・・・エッチはダメだけどな・・・」


「じゃ〜キスして?」


「そんな甘えた声出して俺を見ない・・・」

「いきなり、やってきて、何日も経たないうちに要求が早すぎ」


「それがスクブスだしサキュバスだもん・・・ふたりで他になにするの?」

「ね、花束みたいな恋しようよ」


「もっと時間が必要だよ・・・少しづつお互いを知らなきゃ」

「マラソンだっていきなりゴールはできないだろ?」


「つまんないの」


つづく。

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