第2話 どこ行くの!?

 次の日。

 ほとんど同じ時間、同じ場所。


 今日も今日とて女の子は赤いランドセルを背負って道を歩く。


 しかし、今日は女の子の後ろに猫はいない。



 今日の猫は女の子が歩いていく先。

 道の真ん中で丸くなっている。


 まぁ…温いからな、今日。



 猫を見つけた女の子は「ねこさん!」と言った後、ランドセルを下ろす。

 そして、手を入れて何かを探している。


 出てきたのはビニール袋。

 中身は…昨日とは違う。

 あれは…というやつだろうか。


 女の子は取り出した後、ランドセルを背負いなおす。

 再び歩き出し、猫にある程度近づいてからしゃがむ。


 そして、袋の中の干し芋を取り出して千切る。

 前と同じく猫の方へ優しく投げる。


 猫は起き上がり、干し芋へ近寄る。


 そして少し臭いを嗅いだ後、口に入れた。

 少し噛んでから飲み込んだようだ。


 猫はそのまま女の子を見つめる。

 今日は去らないらしい。


「もっと食べる?」


 そう言いながら女の子はもう一度干し芋を千切って投げる。


 猫は地面に落ちた干し芋を口に入れる。


 女の子は嬉しそうに干し芋を食べる猫を見つめる。


 干し芋を飲み込んだ猫もまた女の子を見つめる。


 そして女の子はまた欲しい芋を千切る。



 そんなやり取りが何度か続いた後、猫は急にその場を去った。


 しかし、猫は林の手前で振り返る。

 そして女の子を見て「にゃー」と鳴いた。


「もういらないの?」


 しかし、猫からは「にゃー」という鳴き声しか返ってこない。

 まぁ……猫だからな。


「…ついてきて欲しいの?」


 女の子は猫の方へと歩き出す。

 すると猫はもう一度「にゃー」と鳴いてから歩き出す。


 女の子は「待ってよ~!どこ行くの~!?」と言いながら猫と共に林に消えていった。



 僕干し芋欲しかったけど…まぁいいか。


 どこに行くか気になるし着いて行くか。

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