友達に誘われて

Remi

第1話 これが欲しいの?

 昼下がりの田舎道。

 片側は山に続く林、片側は畑。


 そんな道を赤いランドセルを背負った女の子が歩いている。

 ランドセルを背負っているのか、ランドセルに背負われているのかわからくなる小さな女の子が。


 その左手にはビニール袋を持っている。



 女の子は、てくてくと歩いていく。


 その後ろをさらに小さな影が追いかけている。



 あれは……猫だな。



 女の子は変わらずてくてく歩いていく。


 その後ろを猫が着いて行く。



 女の子がいきなり立ち止まった。

 そして振り返り、猫を見る。


「ねこさん、どうして着いてくるの?」


 そう聞かれた猫は女の子が持つビニール袋を見ながら「にゃあ」と鳴いた。


「…これが欲しいの?」


 ビニール袋を見ながらそう呟いた女の子はその場でしゃがむ。


 そしてビニール袋の中身を取り出した。


 あれは…か?

 種類はというやつか?


 そして食べかけかだな。

 半分くらいない。


 女の子はその半分のコッペパンを千切る。

 断面からではなく、先端から。

 そして、猫に向けて転がす。


 猫は転がされた一欠けらのパンに近寄り、すんすんと匂いを確認する。


 そして、パクっと口に入れた。


 猫は少し固まってから、足早に山の中へ消えた。


「もういらないの~?」


 小さな女の子はそう叫ぶ。

 しかし、返事はない。


「やっぱりお魚とかが良いのかなぁ…」


 女の子はそう呟きながら再び歩き出す。




 僕も欲しかったんだけど……まぁいいか。

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