第15話
なんだろう……?
さっきから感じるこの違和感は……。
「嫉妬……というか……」
ああ、そうか……。
彼が、無理にそういうスタンスをとっているように……感じられるんだ……。
優しくて、大人で、綺麗で、華やかで、彼を好きになる女性なんて星の数ほどいるように見えて……事実、沢山の女性と割り切った関係を持っているのだとしても。
その関係も、スタイルも全て、彼自身が無理矢理構築した虚像でしかないような気がしてならない……。
だって……そんな、数多の恋に身を置く話をしている彼よりも。
お母さんの事を……大好きな従姉を語る彼の方がずっと……恍惚として、幸せそうに見えるから……。
「あの……少し意外でした。……俊彦おじさんは子煩悩で優しいお父さんになりそうだな~とか、勝手に思っていたので」
さすがに、お母さんの事は口に出来ず。
私は、一般的によく使われる褒め言葉を使って、彼が求める【嫉妬】に代えた。
不特定多数を相手にしているのが楽だから結婚しない、というのは、彼の建て前にしか思えない。
心は……もう、特別な人に捧げていて。
だから……他の人とは結婚はしないと……誓いを立てているという方がしっくりくる。
それが、うちのお母さんなのか、別の誰かなのかは……分からないけど……。
「子供はいらない。俺には莉奈がいるから」
突然、名前を出され、思考が中断した。
空中に定めていた視線を彼に戻せば、彼は穏やかな眼差しで私を見つめていた。
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