21.変化
第1話
修哉おじさんは、最近変わった。
偽装婚約の事が伏せられていた頃も、時々挑発的だったり不意に甘かったりして、私の胸をときめかせたり動揺させたりした事もあったけれど。
下宿生活を始めた頃の修哉おじさんと、最近の修哉おじさんとでは、私への態度が全然違う。
以前は、会話はもっと事務的だったし……生活に必要な事以外の会話は殆どなかった。
それに……徹底して子供扱いだったというか……何事においても親戚の子供を預かる責任が先に立っていた気がする。
それが、今は……婚約者扱いが前提で。
当然の事のように髪や頬に触れるし、本人が言うところの【慣らし保育レベル】の戯れで私を動揺させるし、何かにつけて甘いし……。
こっちは必死になって気持ちを抑えようとしているのに。
まるで、それを知っていて嘲笑うかのように、彼は、私の心を弄ぶ。
あの食事会の夜も……。
例の花束は、元々私へのプレゼントとして用意したものだ、なんて……うっとりする程の微笑みで囁いたり。
俊彦おじさんが帰るまで、と言って、私をリビングに引きとめて……私の身体を半ば強引に膝の上に乗せて抱きかかえたりして。
俊彦おじさんが帰ってくるまでの数十分間、私は、舞い上がりっぱなし。
気が振れてしまうかと思うほどだった。
そんな戯れも、彼としては【慣らし保育レベル】だと言いたいのだろうけれど。
もしかしたら、それすらも【練習】だと……涼しい顔で言ってのけるかも知れないけれど。
私にとっては上級編の挑発、もしくは誘惑でしかない。
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