第37話
ヤバい……。
寝ちゃった……。
意気地なく迷って、酒をあおって、酔いで不安を紛らわして、莉奈の前に立てない理由を積み上げたのに。
……大失態だ。
「あ~……うっかり寝てしまった……」
内心、動揺していたが、俺以上に動揺しているだろう莉奈をこれ以上刺激しない為に、俺はあえて微笑み、緩慢に上体を起こした。
ベッドの隅で身を縮めている莉奈は、驚きと恐怖に青ざめていて。
俺と目を合わせても、見知らぬ者に怯え警戒する様は変わらない。
ああ……本当に。
俺の事、覚えていないんだね。
でも、それでいい。
それこそが、俺達の願った最良の再会。
この姿を、その目に映しても。
彼女が心に封じ込んだであろう得体の知れない【何か】が、暴き出される事さえなければ。
俺は、この寂しさを心の幸いとする事が出来る。
最良の再会【完】
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