第2話

ふと、傍の靴屋のウィンドーに視線を移せば、お洒落なブーツ達と共にポインセチアの造花がディスプレイされていて。




通り沿いの街路灯を見上げれば、イルミネーション用の電飾のコードが連なり、点灯の時刻を待っている。




つまり、世間はクリスマスムード一色。




日曜日の午後、街を行き交う人達のカップル率の高さと言ったら……。




彼氏いない歴2年と数ヶ月の私には、過酷な現状だ。




いや、別に、独り身の寂しさにも随分慣れたし、普段の私だったらこんな状況を過酷とまでは思わなかっただろう。




今日は特別、心にダメージを受けているから…。






理由は、情けないぐらいベタでショウモナイ出来事だった。




大学時代の友達の亜里沙(ありさ)が彼氏とケンカ別れしたって言うから、傷心の彼女を慰める為に電車で30分もかけて亜里沙のアパートまで行ったのに……。




お昼から延々3時間、嘆き荒みまくった亜里沙を慰め続けて、やっと気持ちを前向きに立て直させたところで、別れた筈の彼がやってきて。




私の目の前で、超ラブラブの復縁劇を見せつけてくれて。




口では「芹花(せりか)、お騒がせしてごめんね~。」と、掌をこすりあわせて謝ってはいたけれど、亜里沙の屈託のない両目からは『早く帰ってオーラ』が大放出で……。




そりゃあもう、腹立たしさを通り越して、心が凍った瞬間だったわさ。




男なんかに依存しない逞しく強い女になろうね、って、手と手を取り合って誓った5分後に、彼氏に泣きつきやがって。



私のこのやるせなさをどうしてくれるんだ、亜里沙よ。

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