第23話

「ね………止まらなくなっちゃうよ?」




彼の吐息混じりの囁きが、私の鼻先を掠めて……。





私は、頷く代わりに彼の頬に頬を押しあて、「うん」と小さく答えていた。





「本当に……いいの?……泣かない?」





念を押されて、さすがに緊張が走ったけれど……。





言葉で伝えきれない想いを伝えたいって、私自身が望んでいて。





この高ぶる愛おしさは、そうする以外に諫めようがない気がするから。





「……頑張る」





ここでこの答えはどうよ?と、内心、呆れながらも。




何故か、私は、そうとしか答えられなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る