第21話

許すもなにも……。





これ以上のモノなんて、要らないのに。





朋紀が自分で働いて、これを買ってくれたかと思うと、嬉しくて……嬉しくて。





もう、その事実と、朋紀のその気持ちだけで……。





充分なのに。






泣きそうになるのを堪えて必死に顔をしかめている私を、朋紀は困ったような笑顔でのぞき込んでくる。





「これじゃ……不満?」





「不満じゃないよっ!」





幸せで胸が張り裂けそうで、そう返すのが精一杯で……。




ただ、愛しさに突き動かされて、私は朋紀の身体に抱きついていた。

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