第13話 世界一の魔力保持者
「ロレアス学園長、早く寮へ行きましょう!」
ステナリアを欺く策なんて俺にはない。過去の俺に言いたい・・・ずっと腹痛い演技してろよ!!
俺は寮の場所は分からないがステナリアから少しでも離れるため歩き出した。
だが、俺の抵抗はむなしく終わった。
俺はステナリアに襟を掴まれた。俺とステナリアの距離は10mはあったはずなのに一瞬で詰められた。
赤目マジで化け物。まず、何で王女が赤目!?使う機会なんてある!?俺は神にそう心の中で叫んだ。
「・・・ディア、お腹痛いのは噓ですか?」
ステナリアは顔は笑っているが、襟を掴まている力は増していく一方。「ビリッ」と言う音も聞こえて来た。
「う、え、うそ...じゃ・・・」
「嘘ですか!!!」
「はい!嘘です!!」
俺はそう言って土下座でもしようと思ったがステナリアの引っ張る力に抗えず、土下座できなかった。
想像できる。これから俺はステナリアに投げられ、殴られ、殺され、埋められる。(俺の第二の人生、10年か・・・短かったな)
俺は顔を空に上げて、目をつぶった。
「はぁ~、やっぱり嘘ですか・・・」
俺がステナリアからの攻撃に備えていると、ステナリアはそう言って俺の襟を放した。俺はその場で尻もちをついた。
「昔からお兄様とディアは口に出さず目線などで会話していることが多いこと知っていたんですよ」
な、なんだと!?
俺たち青目のスーパーコミュニケーションが全然スーパーではなかったと言うことか・・・
「生徒会室であなたがお腹が痛いと言ってその場に倒れた時、お兄様はいつもの目とは違う何かを語りかけている目をしていたのでこれはディアと組んでるなと思ったんですよ」
「お前、青目持ってないよな・・・?」
「ふふっ、私はお兄様の妹ですよ」
俺は今ステナリアが女神に見えてきた気がする。ステナリアの周りが輝いているのは王族オーラじゃなくて女神オーラなのか!
俺はステナリアの前で正座して立とうとしていた時・・・
「でも、それとこれとは別ですよね?」
「え」
「だ!か!ら!あなたがあの場で倒れていなければ今も私はお兄様と居れたんですよ」
ステナリアはそう言うとしゃがみ、俺の腹をなでた。俺は恐怖で逃げることが出来なかった。
ステナリアは「ここが、嘘をつくお腹ですか」と言うと腕を曲げ、ゆっくりと手をグーにした。次にステナリアは俺の腹を「トン、トン」と殴るシュミレーションらしき行動をした。
そして腹殴りシュミレーションを終えたステナリアは腕を引いて・・・
「天罰です」
と、笑いながら言って俺の溝内にステナリアの天罰が下った。
そして俺は本当の腹痛を味わった・・・
・・・・・・
・・・・・・
「ん」
目を覚ますと見知らぬ白い天井。
はぁ、俺は何度このやり取りを繰り返すのだろう。ステナリアを怒らすと凄い確率で白い天井の元で目を覚ます。目を覚まさない時は俺がステナリアの怒りから耐えた時。
「おぉ!起きたかディア君」
俺の眠っていた隣にロレアス学園長が居てそう言ってきた。と、言うかディア君!?
「ディア君って・・・」
「あぁ、あの時はそう言う場だったからね、敬称で呼んでいたけどこの場は私と君だけの場なんだ。敬称なんていらないだろ?」
「ま、まぁ、俺たちはそう言う場でも敬称はいらないんですけどね」
「スカシユリ王国のそう言うことは知っているが、私の立場的に敬称を使わないといけないんだよ」
偉い立場になるのも大変だな。
「それにしても君たち本当に10歳かい?私が10歳の頃なんてこんな風に会話で来てないよ」
俺はその言葉に「ビクッ」っと身体を震わせたが、多分気づかれてないだろう。俺は苦笑いで乗り越えた。
するとロレアス学園長は座っていた椅子から立ち上がり、「寮を案内する」と言ったので俺は眠っていたベッドから出て、ロレアス学園長の後ろを着いて行く。
俺はロレアス学園長の後ろを着いて行くと、俺が眠っていた部屋が保健室だと分かった。だが、学校の保健室ではない。
「ステナリアとか護衛たちってどうなったんですか」
「ディア君を保健室へ運んだ後に、ステナリア君に寮の案内をしたよ。護衛たちはステナリア君に「帰っていいよ」と言われて帰って行ったよ」
それから歩いて行くと・・・
「ディア君は試験結果は聞いたかな?」
「はい、首席だとか・・・」
ロレアス学園長は少し間をあけて話し出した。
「私は凄く驚いたよ。筆記と魔力量は一位、身体能力値も高い、身体とか鍛えているのかい?」
「はい」
前世での死亡の原因は俺の身体の小ささだと思っているので、今世では前世のような死に方はしたくないので身体を鍛えている。だからこそ、ステナリアの暴力を受けても俺の身体は意識を覚ますとピンピンしている。
(前世の俺の身体なら毎回、骨の2~3本は逝っているだろうな)
「どうして鍛えているんだい?」
「・・・守りたいものを守るためです」
俺はロレアス学園長の目を見て言った。そしてロレアス学園長は「確かに、あの子は守らないといけないな」と言って俺の頭を撫でた。
あの子・・・?
「そしてディア君は本当に魔力量が桁外れだった。私たちは15歳になるまで魔力量は増え続ける、もちろん個人差はある。そして15歳になると魔力は増えなくなる。この学園に優秀な水目を持つ超人の生徒が居るが、ディア君の魔力量はその生徒よりも多い。私は君が15歳になる時は世界一の魔力持ちになると確信している」
おぉ!!俺が世界一・・・良い響きだな・・・
スカシユリにある王宮で魔力量を量って国王に結果を見せるとその場に居た皆が驚いていた。もう一回やってくれと言われてもう一度量っても結果は変わらなかった。
「水目にも個人差はある。魔力量に才がない人は常人より魔力量は多いが15歳になるまでに魔力量はあまり増えない。魔力量に才がある人は常人よりも魔力量が多いのはもちろん、15歳まで増え続ける魔力量が本当に凄い。これ以外の言葉が浮かばないよ」
続いてロレアス学園長は「あの数字を見た時、本当に笑いが止まらなかったよ」と言った。
俺がスカシユリ王国の王宮で量った魔力量の結果は224。
そしてこの世界の水目を持たない人の平均魔力量は20。
水目を持つ超人の平均魔力量は個人差はあるがだいたい60~70。
歴史上で記録されている最高魔力量は258。
このことをロレアス学園長から聞いた俺はその場で1分間くらい固まった。そして俺は本当に世界一の魔力量の持ち主になると分かった。
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