第8話 身分差は関係ない

 謁見の間から出るとここまで案内してくれた人たちが待っていた。俺たちが謁見の間から出るとすぐに扉が閉じられた。俺の国じゃ謁見の間の開けっ放しなんて多々あるぞ・・・。これは俺の国がおかしいのか?


 俺がそんなことを考えていると、ステナリアは案内してくれた人たちと少し話すと歩き出したので俺は後ろを着いて行く。着いて行くとそこは俺たちが先ほど通ってきた王城の出入り口だった。


 俺たちが来ると王城の扉が開き、外では俺たちの護衛と王城の門番の人が楽しそうに話していたが、扉が開き俺たちが来たことが分かると、門番の人たちの笑っていた顔が真剣の顔になった。そして扉の両脇に立ち直角にお辞儀した。


 ・・・それに比べて俺たちの護衛たちは、真剣な顔をしている奴もいるがまだ顔が笑っている奴もいる。まぁ、これもスカシユリの良いところだ。


 スカシユリは身分はあるがその差はほとんどないと言える。皆は俺たちのことを様などと言っているがそれは俺たちがそう呼べと言っているわけではなく皆がそう呼んでいるだけ。

 

 俺がスカシユリの国王や王妃様に向かって敬語で話さないのそのおかげだ。他の国じゃ、いくら王族に近い地位にあり親同士が仲が良くても国王や王妃様には敬語で話さなといけないだろう。


 俺たちは王城を出てそのまま俺たちが乗ってきた馬車に乗った。


 「では、ステナリア王女殿下、ディア卿、クルミナまで気を付けて」


 俺たちを案内してくれた人たちは俺たちの馬車の前まで来て言った。


 「はい、ありがとうございます」


 ステナリアは首を下げながらそう言ったので俺も首を下げた。


 俺たちが首を下げると馬車が動き出した。


 俺たちの次の目的地は先ほど、国王や案内してくれた人が言っていた学園「クルミナ」に行く。学園長に挨拶しに行くのともう一つすることがある。


 ステナリアを見ると凄く楽しそうだ。俺は逆に気が滅入る。


 「ディア!楽しみですね!学園クルミナ!大陸最高峰の学園!」


 「楽しみねぇ...学園に行くだけなら楽しみだがあの人と会うのは面倒だ」


 俺はきっぱり言った。そう言うとステナリアはほっぺたを膨らませた。


 「まだそんなことを言っているんですか?...何が嫌なんですか?」


 「ものすごい王族オーラを感じます。それが嫌って言うか苦手です」


 俺は他にも言いたいことがあるがそれを出来るだけまとめて言った。


 「あら?私からは感じ取れませんの?ものすごい王族オーラ」

 

 「はい。君からは1ミリたりとも感じ取れません」


 それを聞いたステナリアは俺に向かってきた。それを俺は華麗に避けた。そんなしょうもない争いをこの狭い馬車の中でクルミナに着くまでずっとしていた。

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