第7話 親友

 俺とステナリアは大きな扉の向こうにある部屋へ入る。そこには・・・


 「ようこそおいでなさった、ステナリア王女殿下、ディア卿」


 その声は俺たちの目の前で大きく豪華な椅子に座っている男の人から発せられた。


 「お初お目にかかりますロウバイ陛下、この度は私たちのために時間を取ってくださいりありがとうございます」


 俺とステナリアは頭を下げた。


 そう。この人が、大国「メアロノロス」の国王「ロウバイ・メアロノロス」である。ロウバイ陛下を見るとなんかすごい王族オーラが出ている。そして金目の持ち主。


 「ははっ、よいよい頭を上げるんだ。あの二人の子供なんだ」


 「あの二人とは・・・?」


 「あぁ、二人とはステナリア王女殿下の父でスカシユリの国王であるユリウス・スカシユリと、もう一人はディア卿の父でユリウスの秘書であるマナガス・シュラストのことだ」


 「お知り合いなんですか?!」


 ステナリアがいつもより大きな声で言った。


 「聞いてないのか?あの二人とは学生の頃からの友だ。今でもやり取りは色々としているよ」


 そう言ってロウバイ陛下は笑った。ステナリアは笑っていたが、俺は見るからの作り笑いになってしまった。前世の俺なら笑えたが今世の俺は自分のままに生きているせいで作り笑いを忘れてしまった・・・


 ロウバイ陛下は俺を見ている。これは俺はもう退場と言うことか・・・


 「ディア卿は昔のマナガスとそっくりだな」


 「父とですか?」


 「あぁ、私が初めてあいつと会った時・・・」


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 『私の息子と仲良くしてやってくれ』


 俺がそこで会ったのは、大陸の北端にあり大陸上最も小さい国スカシユリから来た、俺と同い年の男2人。


 一人は俺と同じく国王の息子で赤目の男ユリウス・スカシユリ、もう一人は父の話を微妙な作り笑いで聞いている青目の男マナガス・シュラスト。なんでも王族の秘書の家系と言う特別な家系らしい。


 俺はその二人の前まで行った。


 『よろしく』


 『はい、よろしくお願いします。ロウバイ王子』


 俺が出した手をユリウスは握った。そして俺はその手をマナガスに向けるとマナガスは無言で握った。

 

 『あ!す、すみません!こいつはこういう礼儀と言うか敬語と言うものが苦手なもので・・・』


 『ははっ!同い年なんだ!礼儀などいらん!それに王子も付けなくてもよい!』


 父がユリウスの言葉を聞いてそう言った。


 『で、では改めて、よろしく、ロウバイ』

 

 『あぁ、よろしく、ユリウス』


 俺はマナガスへ目を向けた。マナガスは少しを間を開けて言った。


 『・・・よろしく、ロウバイ』


 「あぁ、よろしく、マナガス』


 これが俺たちの出会い。そしてメアロノロスとスカシユリの関係がさらに良くなった瞬間。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 「父の話をディア卿と同じような顔で聞いていたよ」


 親と子は似るってものだな。


 「ステナリア女王陛下もユリウスとそっくりだ」


 「それは・・・ありがとうございます、なのでしょうか?」


 「それもそうだな」


 そうして笑っていると、陛下は俺たちの顔を見て言った。


 「話には聞いていたが本当にオッドアイの持ち主だったとは」


 「陛下は初めて見ましたか?」


 「いや見たことはあるが3、4回だ。オッドアイの持ち主は忙しいからな」


 陛下でも会えないとはオッドアイの持ち主は本当に凄いんだな。


 それから俺たちは陛下と少し話をした。


 「そろそろ昼か...どうだ、一緒に食べないか?」


 陛下がそう言うと陛下の横に居る女の人が陛下に耳打ちをした。そして陛下は顔をハッとさせた。


 「あぁ、そういえば学園に行くんだったね」


 「はい。この度はありがとうございました」


 「ありがとうございました」


 俺たちが謁見の間から出ようとすると陛下が止めてきた。


 「頼みがある。学園に入るなら息子と仲良くなってやってくれ」


 「はい、もちろんです」


 ステナリアがそう言って俺たちは出る前に一礼をして謁見の間を出た。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る