第23話

…信じられないんだけど。



2人って、付き合ってるの?




『付き合ってなくてもできるじゃん。


俺らみたいに。』




彼女は好きな人としかしない子なんだと思ってた、って思ったことを素直に出せば、自惚れたような言葉が返ってくる。





『だったら、俺が好きなんじゃん。』



「その自信、どっから来るの?」



『この顔。』



「…殴る。」



『あ〜やめて。李ちゃんの手が汚れる。』




なんで自分の顔じゃなくて、私の手…。




私が抱いて、と言い出したけど、今じゃ全然そんな雰囲気じゃない。








『…うっわ』



「なに…?」



私の身体を見て、うっわって何ごと?



思わず起き上がると、そのまま座らせられる。






『この間は暗くしてたから見えなかったけど、…こんな綺麗だったっけ。』



それは…私の見た目では、綺麗だとは想像できないって意味も多分、含まれてる。


目に掛かってた前髪を思いきり上げた彼の表情、完全に、男の顔だった。







『"二番"にしておくの、勿体ないんだけど。』




「…ねぇさっきから、」




『はぁ、俺昨日したばっかなんだけど。


こんなの、1回や2回じゃ終わんないよ。』







彼の言う通り、行為は何回戦にも及んだ。



体力のない私は、途中で落ちた。





目が覚めた時には、目の前で綺麗な顔が寝ていた。







「…」


『どこ行くの。』



ベッドの下に落ちたローブを纏って、立とうとした私の身体は彼の手によって、簡単に引き戻された。



「…喉乾いた。」



『俺の、飲んで。』



「冷蔵庫から取ってくる…」



『いいじゃん、俺ので。

あ、間接恥ずかしい?』




挑発だって分かってんのに、腹が立ってペットボトルの水、全部飲んでやった。







『李ちゃん。』



彼が私の名前を呼ぶ時は、なにか企んでいる時だって思ったんだけど。





『近くにできたカフェ、知ってる?』



「…?」



『一緒に朝ごはん、食べに行こう。』




…朝食のお誘いだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る