第5話

2人が出掛けてる事実を目の当たりにするだけでも心臓がむず痒くて、ザワつくのに。



「この際、思い伝えればいいのに。」


来月から毎日会えなくなるよ、と隣で残酷なことを口にする真緒。




「2人で出掛ける意味はお互い悪くないって思ってるってことでしょ?

じゃないと、わざわざ週末に時間作って遊びに行かないよ。」



…心がえぐられる。





そして、私が勇気を出すきっかけを作ったのは坂井さんだった。







「悪い、この後誘われてる。」



「また?私との週1の飲み会は?」



いつそんなん決めたんだよ、と笑う七瀬。


もしかして、入社して数ヶ月経った頃に決めたのに覚えてないのか。



「ちなみに、誰と?」


「、坂井さん」



何故か言いずらそうな彼。


聞かなくても何となく分かってはいたけど。





私の週1飲みは最近になってなくなり、彼女の方へ移行した。




「…明日は?」


「あぁ、明日は行ける。お前忘れんなよ。」



「どっちが。」



こういうの忘れっぽいのはそっちのくせに。





明日は金曜日。


目が腫れるほど泣いても平気。



会えなくなるなら、当たって砕けろ。私。






「ええ?!」


「なに?」



真緒の悲鳴に近い大きな声が聞こえた先に、ご対面したくなかった2人。



七瀬が誘ったにしろこの2人がご飯行く場所ならもっとお洒落なバーとかだと思ってたよ。





「さっきぶり。」


「朝日奈さんも澤井さんも座る?」



そう言って彼女は私達に今まで座っていた席を譲り、七瀬の隣に移動した。



……、またこのザワザワ。


今まで過去に数人彼氏が出来ても感じなかったこの…、焦りの混じった嫉妬。




私、嫉妬心凄いかもしれない。

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