序章

第1話 転生

 俺の記憶はガシャンっていう衝突音と共に途絶えた。


 目を覚ますとぼんやりしているが、そこには見知らぬ石造りの天井があった。

 周りを見る、石壁に窓があるが小さく、昼間だというのに薄暗い。

 奥には暖炉があるのか火がぱちぱちと薪をはぜさせ、燃えているようだ。

 部屋にはたくさんのベッドがあり、数人の人が寝ていた。


 ここはどこだ?病院か?てか、なにこれ視界がめっちゃぼんやりするんだが!

 それにあそこで寝てる人たち小さくね。

 

 隣のベッドをまじまじと観察していると、正体がわかってきた。


 え、赤ちゃんじゃん。


 驚いて、立ち上がろうとするが立ち上がれない。

 そもそも手と腕が上手く動かせない。

 手を上に掲げてみると。小さくプニッとした手が目に入った。


 あれ、手が小さいぞ。これは俺の手なのか?赤ちゃんの手?

 さっぱりわからん。夢なのか?でも随分とリアルだな。あ、やば漏れる。


 ふっと感情がコントロール出来なくなり、泣き出していまう。

 すると修道服を着た女がやってきた。


「大丈夫だよー、オムツ変えよっか」


 めっちゃ恥ずい。

 これではまるで赤ちゃんじゃないか。

 俺、もしかして、赤ちゃんになったのか?


 試しに声を出そうする。


「あうあうあー」


 あ、うん。夢だな。


 そう結論を出し、瞼を閉じた。

 だが、次に目を覚ますとぼんやりとだが、見覚えのある石造りの天井が目に入る。


 あれ、また夢か?

 だけどリアルだな。


 試しに腕を小さい指で触ったあと抓った。


 感覚あんじゃん、やば。

 これって転生ってやつ?

 いや、これ間違いなく転生じゃん。

 てことは、俺、死んだんだな。

 これからだったのに。

 

 ふっと自分の人生を思い出す。


 今思えば結構、順風満帆な人生だったと思う。

 中学では空手部と柔道部で全国大会ベスト8、12入り。

 高校では剣道部と弓道部で全国大会準優勝、ベスト8入りした。

 上京し有名国立大に首席で卒業し、大手企業の内定を貰った。

 だが、初出勤で事故に合うとは思わんかった。

 不運すぎじゃね。でも転生できたし、不運じゃないのか?

 これって案外チャンスかもな。うん、今世ではもっと上手く生きていくぞ。


 天井に手をかざし拳を握る。


 よし、まずは状況確認からしよう。


 状況整理のため改めて周辺を見渡す。


 クソ頭を動かすのも大変じゃねーか。


 そこは少し大きめの木造建築の部屋だった。

 そこにはたくさんのベット、それとさっき見た。赤ちゃんが俺を入れて10人に寝ていた。


 てか、赤ちゃんだらけじゃん。

 孤児院か?もしかして孤児に転生したのか?

 転生する時って普通貴族じゃね?

 まあ、転生させて貰えただけで満足しないとな。

 そういえば転生と言えば、転生特典だよな。

 えっと、ステータスオープンでいいのか?

 ステータスオープン


 シュンと、半透明の板が目の前に現れる。


 名前:アレン・ヴィオール

 種族:人間

 性別:男

 年齢:0歳

 体力:1

 筋力:1

 魔力:1

 俊敏:1

 スキル:《 剣術:下 》《 弓術:下 》《 武術:下 》


 お、成功した。

 名前はアレンか。外国風でかっこいい名前だな。

 今のところ、ステータスはオール1か。赤ちゃん出しな。

 でも、スキル3つ持ってるじゃん。

 この3つは前世にやってた影響か?

 魔力があるってことは、魔法とかあるのか。すげーな。

 確か魔力の特訓法は瞑想とかじゃなかったか。

 作法とか知らないけどものは試しで、やてみるか。


 そっと目を瞑る。全身の力を抜いく。

 体がぐっと重く感じるようになった頃、胸の奥に何かが揺らめく感覚があった。


 なんだこれ。

 この淡い灯火みたいなのが魔力なのか?

 全身に流れてる感覚がするな。

 小説とかだと魔力切れで魔力容量が増えるらしいがどうやって魔法を使うだ?

 指先に魔力を集めて放出するイメージでいいのか?


 指先に魔力を集め放出するイメージを思い浮かべる。

 すると体から何かが抜ける感覚と共に疲労感が襲ってくる。


 お、成功か。だがしかし疲労感が凄まじいな。ふぁー。


 欠伸が無意識に出てしまう。


 やべぇー、眠くなってきたぞ。魔力切れって死なないよな。


 魔力放出すること、2分程度で意識が途絶える

 次に目を覚ましたのは修道服の女シスター?に授乳のために起こされた時だった。


「アレン起きてください。授乳の時間ですよー」

「あうー」


 ん?あれ!死んでない。良かった。このまま起きないかってめっちゃ焦ったわ。


 シスターはアレンを横抱きし、哺乳瓶を咥えさせた。


 この哺乳瓶ガラス製じゃん。

 中身は、牛乳じゃねーか。地球のと比べると不味いな。


 アレンが飲み終わると、シスターはアレンを抱きかかえ、背中を軽く叩く。


「げぷー」

「よく出来ましたー」


 頭を撫でられる。


 うん、これは恥ずい。めちゃ恥ずい。


 そっとベッドにアレンを戻し、シスターは他の子のところに向かって行った。


 うー、赤ちゃんとはいえやっぱり恥ずかしいな。哺乳瓶が合って助かった。

 そういえば、魔力増えたかな。


 ステータスオープン


名前:アレン・ヴィオール

 種族:人間

 性別:男

 年齢:0歳

 体力:1

 筋力:1

 魔力:11

 俊敏:1

 スキル:《 剣術:下 》《 弓術:下 》《 武術:下 》

 

 10アップしてるな。

 一応あっちも確認してみるか。


 目を瞑り、集中する。

 他の子が起きたのか騒がしくなってきたようだ。

 それでもなんとか集中し、前より淡い灯火がちょっと大きくなったのを確認した。


 お、こっちも、大きくなった。

 よし、他にできることもないし、この調子で頑張ろうかな。


 ※ 初心者です。誤字報告やアドバイスお待ちしてます。

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