33.独裁者の最後
第33話
やがて平田先生とでじこたちはパレスサイドビルディングの屋上に到着した。
「さすがは悪名高きパレスサイドビルディング、屋上の地面は凸凹だぜ」
かつては昭和天皇も登った展望台であったが、今やそのプレートのみが残され、歩くのもままならない有様だった。
するとそこに人影が見えた。リーダーズダイジェスト社長の塩田である。独裁者として君臨し、社員には口答えすら許さない悪名高い社長であった。
「貴様!観念せい!」
その時上にヘリコプターが見えた。
「でじこちゃん、あいつはあれで逃げる気だ」
するとでじこはすかさず「目からビーム」で撃ち落とした。ヘリコプターはビルの北側にある「毎日神社」に落ちた。
「さあ!潔く観念しろ!」
しかし塩田はそれでもあきらめず、でじこたちが登ってきた階段と反対側の階段から逃げようとした。
すると尾崎先生たちがその階段を登ってきた。
「成敗!」
屋上を逃げ惑う塩田を大勢の軍勢が取り囲む。
やがてビルに火が回り始めた。リーダーズダイジェストの社員たちがもはやこれまでとパレスサイドビルディングに火をつけて退散したのだ。
近寄るでじこたちに塩田は笑いながら、服に火をつけた。するとその瞬間に閃光が光り、爆発音が起きた。
ビルの真ん中に亀裂が入り、崩れ始めた。
「みんな!逃げよう!」
でじこたちは大慌てでパレスサイドビルディングから退散した。みんなが平川門まで逃げた時にパレスサイドビルディングは大音響とともに爆発し、跡形もなく崩れ去った。
「これが最後か・・・」
よろよろと平田先生はその場に崩れた。
「これでわしの願いもかなったが、わしの人生も終わった!」
平田先生はでじこたちによって車に乗せられ、その場を離れた。
軍勢側はけが人は多数出たものの、死者は出なかった。
しかし平田先生は無言のままうつむいていたという。
「町が火に包まれているな・・・」
「これで歴史は変わったにょ、平田先生が変えたにょ・・・」
「みんな、見たか・・・歴史というものはこうやって自分たちで作り上げて変えていくものなんだ・・・これが諸行無常と盛者必衰という歴史学で言われる言葉でな、どんなものでも形をそのままで保つことはありえない、時と共に全てのものは変わっていく・・・
よいか、特にでじこちゃんとぴよこちゃんは心しておけ、強いものがいつまでも強いままでいることはない。支配者は永久にその土地や時代を支配することはない。
力でうばった物は必ず力でうばわれる・・・。よく覚えておけよ」
「平田先生!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます