23.フグ料理

第23話

ふぐ料理はまずはから揚げ、白子から始まり、次にふくちり(てっちり)、ふくさし(刺身、てっさ)、そして最後にふくちりの中にご飯を入れて雑炊にして締める。

「こんなうまい魚、食べたことないみゃ」

「みけちゃん、ここだから毒を取り除いてくれるんだよ」

ふぐ料理が終わると、みんなが尾崎先生の周りに集まった。

「平田、子供たちはまだ食べたりないようだ、おまえステーキを焼いてこい!」

「またステーキかにょ」

「宝塚で食べたにゅ」

「ははは、牛肉ステーキよりもっと贅沢なものを食わせてやる。1キロ2万円の肉だからな?」

「そんなに高いお肉あったのかぴょ?」

しばらくはみんな尾崎先生のお話に耳を傾けていた。やがて平田先生がみんなにステーキを焼いて持ってきてくれた。

「さて、いただきますとしますかにょ、にょ?ずいぶん固い肉ですにょ?」

「かたくてかみきれないにゅ」

「おいしいけど、かたいぴょ」

「いったい何の肉なのよ」

「下関名物、鯨のステーキだ」

みんなこれには驚いてしまった。

「ここ下関は昔は鯨が何十頭もあがる港町でね、あのころの日本は鯨王国だったから世界で一番鯨を食べていたんだ。あまるほど取れたから給食にもでたほどだ」

「そうだな、10年ほど前までは牛肉のステーキなんてなかった。庶民の肉といえば鯨だった」

「尾崎先生、余った肉で作りました。先生大好物の「鯨のしょうがしょうゆ漬け」です!」

「おお、気が利くなあ!」

ステーキまで食べたらさすがにでじこたちはおなかいっぱいで寝てしまった。

「平田、子供たちは寝たか?」

「何とか寝たようです」

「晩酌付き合え」

二人は久しぶりにふぐのひれ酒を味わった。

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