21.船に乗って

第21話

みけが叫んだ。

「魚みゃー」

「何が釣れたにょ?」

「平田先生に見てもらうにゅ」

「ほう、これはいいもの釣り上げたね、ママカリじゃないか」

「食べられるのかにょ?」

「刺身にするみゃ」

「いや、これは焼いたほうがいい」

平田先生は早速魚を焼き始めた

「いいにおいだにょ~」

しかし、平田先生は焼きあがっても魚を食べさせてはくれなかった。

「これをな、たれに漬け込んで食べるとうまいんだよ。」

たれにしばらく漬けたらお昼ご飯になった。

「うまいにょ~」

「1匹で2杯ごはんが食えるといわれた魚だ」


しばらくして、みけがまた叫んだ。

「魚みゃー」

「みけ、今度は何が取れたにょ?」

「ふくらむ魚みゃ」

「おもしろい魚にゅ」

「売るみゃ」

「みけ、その前に先生に見せたほうがいいにょ」

でじこはみけの釣った魚を平田先生に持っていった。

「平田先生、おもしろい魚がつれたみゃ」

「どれどれ」

みけの釣った魚を見た平田先生は一瞬厳しい顔をした。

「みけちゃん、これは君が釣ったのか? 」

「もちろんみゃ!」

「えらいことしてくれたなあ・・・。」

「えらいみゃ!」

「みけがそんなすごい魚釣ったのかにょ?」

「そうじゃない!これはトラフグという魚でね、1匹で大人30人を殺すことができる毒を持った魚なんだぞ!売ったら当然処罰の対象だ!」

「にょー!」

「みけ、おまえ死刑にゅ!」

「まあ落ち着け」

「そうだった、平田先生なら何かいい知恵あるかにょ」

「まあそんな猛毒を持った魚だ、とりあえずこの魚は全部没収だ!いいな!」

「しかたないみゃ」

「でも、ふぐっておいしいんでしょう?」

「たべられるのかにょ?」

「先生は毒を持ってる魚と言ったみゃ!」

「確かに毒はあるがね、きちんと加工すればいいんだ。ただそれが面倒でね・・・」

「そうね、国家試験に受かった人でないと料理できないんでしょ?」

「そう、毒も処理しなきゃいけないし、おいといても腐らすだけならいっそ加工してもらうか」

「加工?」

「うん、ふぐは確かに猛毒を持つ魚だが、きちんと加工すれば毒はなくなる、それができるのは南風泊(はえどまり)市場に頼むしかない」

「南風泊(はえどまり)?」

「下関にある日本一のふぐ市場だ。そこへ持っていくしか処理方法はあるまい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る