109.思い出のグランドひかり

第109話

名古屋に住むようになって往復に新幹線を利用するようになり長くなるが、

私はたいていの場合JR西日本の車両を利用し、緊急時に自由席を利用する時以外はできるだけJR東海の車両は避けていた。

これは乗りごごちやサービスではJR西日本のほうが良かったからである。

JRは西に行くほどサービスがよい。関西空港が開港して間がない頃、私は関西空港駅で列車の写真を取っていたら、運転士はそれに気づいたのか運転台に上がろうとしない、やっと乗り込んだかと思うと身を乗り出してポーズまでとってくれた。私は驚いた。東京でも名古屋でもJRは駅員の態度が悪いのが当たり前で、特に東京都内の駅では閉口するほどだった。JRの駅員の態度が悪いと駅員に食ってかかった友人もいたほどだ。原因は、東日本のJRはJR以外に目的地へ到達する輸送手段がないケースが多く、いやでもJRに乗らねばならない、ところが名古屋より西ではJRに乗るのがいやなら乗らなくても輸送手段は他にあるからのらないでもよい。

特に京阪神のJR線はどこでも私鉄との戦いだ。こうなると東日本のように駅員の態度やサービスが悪ければ客から見捨てられる。だからサービスはよい。

中でもJR西日本の博多行き「グランドひかり」は他の列車があいていても

満席になるほどの人気だった。最盛期には名古屋を4往復が通過していた。

新幹線で最後まで食堂車があったのは「グランドひかり」だけだった。

「グランドひかり」には2階建ての部分が2両あり、その一両上部がグリーン車になっていて、テレビまでついていた。さらに荷物を置くトランクルームまであった。下部は普通車の座席だった。もう一両の上部が食堂車で、下部が調理室と売店になっていた。ビーフシチューとハムサラダ定食が定番メニューになっていたが、どちらも寝台車の食堂車からの定番メニューでビーフシチューは現在でも寝台列車「北斗星」で味わえる。

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