リーダーズダイジェスト破たんへの道2013

第54話

2013年2月18日、またもやニューヨークに騒ぎが起きた。

「リーダーズ・ダイジェスト2回目の倒産!

負債総額4億6500万ドル!」(日本円にして440億円)

私は喜ぶというより、ここまで自分の予測が的中することに怖さを感じている。

アメリカでは何度も倒産を繰り返しながら企業が存続するというケースは珍しくはない。しかし親会社が何度も変わり数年で経営陣や社風が全く変わってしまうケースがほとんどである。

しかも今回の負債額は日本企業に当てはめるとかなりの高額だが、それでも前回2009年に倒産した時の負債と比べるとその22%ほどにすぎない。しかもその債務の性質が違い、2009年の時はリップルウッドが全額損失を被るために買収資金を帳消しにするためのものであった。リップルウッドは企業を再生して高く売ることを目的としており、日本にも再建に成功した企業があまたあるが、リーダーズ・ダイジェストについては見る目がなかったという事なのだろう。

しかし今回は資金繰りの悪化に伴うものだ。リーダーズ・ダイジェストの資産が11億ドル(約1030億円)なのに対し、負債が12億ドルと上回っている。4億6500万ドルに上る債権を株式に交換することで債権者の同意を取り付けて債務の株式化を行う。これは日本企業でも実例があるが、これによって債権者が含み損を抱えるケースも多い。

リーダーズ・ダイジェストは電子版の普及を推進したり、国際事業のライセンス契約を進めたが、最近ではほとんどの事業が採算割れしている。なにしろ85%引きという無茶な値段では紙も電子媒体も売れ行きが悪い。つまりもう10年前までのアナログのやり方では通用しないのだ。

もちろんデジタルが全ていいというわけではないが、世の中はそれに向かっている。

もはや20世紀の考え方では通用しないということを物語っているのである!

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