デジタル化の兆候

第41話

さて倒産した米国リーダーズダイジェストだが、先ごろ紙面改革を発表した。

それによると年間15ドルでIphoneなどで購読を受け付けるというのだ、いわゆる紙面のデジタル化である。

既に米国ではニューズウィークやタイム誌などもデジタル化に踏み切っており、

中には完全デジタル化して紙媒体での発行をやめてしまった雑誌も少なくない。

この背景には、まじめな総合雑誌を読むことがなくなったことがある。

今はインターネットがあれば自分の読みたいものを読める時代、作品の主導権が書き手から読み手へ移ったことだ。

これは本来のあり方への回帰であり、書き手はますます自分の技量を試されることとなる。

とすれば、編集者が好き勝手に編集している雑誌こそすたれるのである。

昨今「コミケ」という自主出版物の展示即売会のようなものが行われているが、これは過酷な環境で、夏なら熱中症覚悟で何時間も並んで1000円以上出して薄い本を買わねばならない。

だがそこに有名であるか無名であるかの区別や上下はない。買う客がいるからこそこの仕組みは成り立つのであり、鍛えられて成長するのである。

ここからすれば自分たちだけで平和な世界を作っていて安穏としている連中の存在が許せないのである。

先ごろ「ボカロ絵師100人プロジェクト」といって100人の漫画家を集めて金をとって本を出そうという輩が現れたが「自分の絵を乗せるのになぜ高額な金をとるのか」と言う非難が巻き起こり、わずか3日で主宰者のホームページは閉鎖に追い込まれた。

この例からも分かるように、現在の同人世界はハッピーネットワークのような仕組みや存在を許す世界ではないということだ。

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