竹橋のほとり

第1話

先ごろ、私は皇居東御苑の北、竹橋を通りかかった。

「おっ、ここだ、ここだ」

「なんです?」

「ここがパレスサイドビルだ」

「細川さんに何か因縁でもあるんですか?」

「私が学んだ全ての知識と、53個の資格、そして私の人生の半分以上は

全てがこのパレスサイドビルをぶっ潰すためにあったのだ」

「えっ?」

「パレスサイドビル、またの名を「呪いのビル」という。

かつてここに入った会社は例外なく経営破たんしているという伝説のビルだ。

そして、このビルを建てたのが、世界最大の詐欺会社

いや、グローバル・バンディット・カンパニーと言うべき存在、

リーダーズ・ダイジェスト・グローバル・マガジンだ!」

こう言うと連れは顔をしかめた。

「あの細川さんをここまで苦しめる、リーダーズ・ダイジェストとは一体何だったのだ?」

「知りたいかね?」

私は深く深呼吸するとゆっくり彼に語り始めた。

「もうあれから25年になるか…。」

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