第48話




自分の過ちを自覚もせず、娘さえも利用してきた佳代の人生は。



「っっ、嫌よっ!」 



ヒステリックに騒ぎ出す声を背に、俺は住んでいた自分の家を出た。



・・・少しの未練もなく。



扉の閉まる音は、物哀しさを知らしめた。




「……自分の意見が通らなければ癇癪を起こしていたなぁ。」



諌められなかった自分。



そこまで佳代を増長させたのは、会社ばかりにかまけて、家庭を蔑ろにした。




「…………、俺、だな。」



自嘲の笑みが 、歪んだ自分の口元から溢れ落ちる。

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