第27話



「ーー・・来たか。」


冷たい目を向けられても、私は笑みを浮かべた。



淑女の仮面を被る。




「先に挨拶回りを済ませるぞ。」


「はい、貴方。」



淑やかに。


優雅に夫の一歩後ろに従う。



ほら、私の所作は素晴らしいものでしょう?



そんな私に、貴方は背を向ける。




「おや、水瀬さん。」


「鈴木さん、ご無沙汰しております。」



にこやかに取引相手と挨拶を交わす夫の後ろで、増悪を募らせていった。



ふふ、覚えておいてね?



私に対しての侮辱を、絶対に許さないから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る