第23話



眉根を寄せる。




「社長は、先に直接会場の方へ向かいました。」



素っ気ない、主人の秘書。




結婚当初から、この男、深山みやまの私への態度は変わらなかった。




主人である夫の妻に対して、敬う事をしない。





「…先に?」



私を1人、置いて?




夫のあまりの対応に、目尻を吊り上げる。




同伴なのでは、無いの?





「夫は自ら来ず、お前だけを迎えに寄越したって事かしら?」



「えぇ、」



頷く深山と、バックミラー越しに視線が絡む。





「でも、奥様も、その方が良いのでは?」




深山が嘲笑を浮かべた。

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