第16話 急用と不在

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 大変な真実を知ってしまった俺。


 ますます眠ることができなくなってしまった俺は、まんじりともせず朝を迎えることになった。


 ――どうしよう、朝食の席で二人をまともに見ることができるだろうか!?



 それに、……そんなこと、絶対に想像してはいけないとわかっているのに、美しすぎる二人のちょっとしたやり取りを思い出しては、あれやこれや……、二人のあられもない姿や……、夜のベッドの上で行われているであろう秘め事……、そんなことをつい思い浮かべては、赤くなったり、青くなったりを繰り返してしまう俺!


 ああっ、でもまさか、あの二人が!!

 でもでもでもっ、あれほど美しければ男だろうが、女だろうが、そんな些細なことは、きっと関係ないに違いない!


 容姿の素晴らしさはもちろん、お互いに認めあっている類まれなる才能も、二人を惹きつけ合ったということは想像に難くない!


 どっちがどっちなのかは、俺の貧困な頭脳では想像もつかないが、現に俺だって、二人のことをすっかり……。



 ――ああっ、俺はこれから、どうやって二人に接していけばっ!!


 今更ながら、その手のことにまるで鈍感すぎる自分に、腹が立って仕方がない!



 俺がそうやってベッドでジタバタしていると、まだ夜明け前だというのに俺の寝室のドアがノックされた。


「ティト、少しいいか?」


「はっ、はいぃ!!」


 俺は直立して、ぎくしゃくとした動きで恐る恐るドアを開けた。



 目の前には、なぜかきらびやかな正装に身を包んだファビオとオルランド!


 くっ、朝っぱらから目に眩しすぎるっ!!



「あの……、いったい、どうしたんで……」


「悪いが急ぎの用ができた! いまから転移魔法で王都まで行ってくる!」


 王子様のような出で立ちのファビオは、まるで現実味がないほど美しかった。


「夕方まではかからないと思うから、夕食はみんなで食べよう。それまで、ティトは部屋から絶対出ないようにして! 念の為、魔法で結界を張っておくからね」


 ローブを脱いで貴族然とした格好のオルランドは、やはり息を呑むほどいい男だ。



「は、はい、わかり、ました……」


「ダンジョンに行かなきゃ危険はないと思うから、ここから一歩も出るなよ! ティト!」


「帰ってきたら私達から大切な話があるからね」


「大切な、話……」


 正装して王都に戻るという二人。




 ――なにか重大なことが起こったのかもしれない。




 それにしても……、


「仲直り、したんだ……」



 転移魔法で二人が同時に消えた空間を、俺はぼんやりと見つめていた。





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