第3話
と、突然に周囲の松明の炎の明かりが消失した音がした。
きっと、冷たくて強い隙間風のせいだとチェシリスは思った。
「ここにいてはいけない。さあ、出口を探しにお行き」
小さな声が、厳しいがどこか優しくそう頭の中で響いた。チェシリスは勇気を出して少し居住まいを正すと、そのままカタコンベの出口を探すために奥へと一人歩いた。
カタコンベの地面には、普段にはないはずの頭蓋骨が所々に散らばっていた。奥へ行けばいくほど、頭蓋骨が増えてきたのか、チェシリスは躓いては、たたらを踏むことが多くなった。
冷たい隙間風も奥へ行けば、次第に身を切るような冷たさを覚えた。
腐敗臭や死臭が強くなってきた。このままでは、自らの身体全体が闇にずっぽりと呑み込まれてしまう。と、チェシリスは危惧した。
「闇に呑まれてはならないよ」
そう、頭の中でバンヒルの声が危惧した通りに優しく響いてきた。チェシリスは小首を傾げて、闇に呑まれるとどうなるのだろう? と考えようとしたが……。
突然、頭蓋骨に足を引っ掛け、バランスを崩して地面に肩肘をつけてしまった。
ムッとくる腐敗臭と、おびただしい柔らかい腐肉の感触とで、チェシリスは顔をしかめた。
「ほら、闇に呑まれる。さあ、立って」
バンヒルの今度は厳しい声が、頭の中で一際大きく響き。チェシリスは困惑した。
一体。闇に呑まれるとは?
どういうことなのだろう?
それは、転んだことと何か関係があるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます