第1話 ヒーロー

俺の名前は黒乃くろの。高校3年生の17歳。

今日は学校で進路希望の紙が配られた。

俺は『英雄学園えいゆうがくえん』と書き、すぐに先生に提出した。


鈴音すずね市の中央にはエースと呼ばれるヒーロー会社がある。

英雄学園に入学するとアンビーから能力が与えられ、卒業するとエースに入社できる。

ヒーローの仕事はゲートから出てくる化け物を倒すこと。

この化け物はヴィランと呼ばれている。

ゲートはどんどん増えていき、ヒーローの数も増えていった。


俺は8歳の時、ヴィランに襲われた。

その時アンビーに助けてもらったことがきっかけで、俺はヒーローを目指したんだ。




学校が終わり家に帰ると、おばあちゃんが笑顔で「おかえり」とむかえてくれる。

両親は共働きで18時くらいに帰ってくる。

母、父、祖母、俺の4人家族で、夜ご飯はいつも家族全員で食べる。

ご飯中は学校での出来事を話す。

今日は進路希望調査のことを話した。

家族は俺のヒーローになるという夢を応援してくれている。

その後も楽しく家族で話してたその時だった。


ドン!


家が爆発した。


気づいた時には俺以外の家族はみんな瓦礫の下敷きになっていて、お父さんとおばあちゃんは死んでいるようだった。

だが母はまだ生きていた。

「母さん!」

「逃げなさい!」

母の声が聞こえた瞬間、俺は家を飛び出した。

家を出てすぐ、家は完全に崩壊した。

すぐに絶望が俺を包んだ。


次の日、俺はいとこの家に引き取られた。

お通夜と葬式をし、1週間後学校へ通い始めた。

だが、授業が頭に入ってこない。

心にぽっかり穴が空いたようだ。

そのまま7時間目が終わり、家に帰っていた時だった。


「黒乃さんですよね?」

黒いコートを着ていて、眼帯をした謎の男が声をかけてきた。

「どなたですか?」

「申し遅れました。僕は与一よいちです。今日は黒乃さんを勧誘しにきました」

「勧誘?」

「はい。僕はヒーローに家族を殺された者たちで構成された、ヴィランズのリーダーを務めています」

嫌な予感がした。

「申し上げにくいですが、黒乃さんのご家族もヒーローに殺されました」

嫌な予感が当たった。

「俺の家族が?」

「はい。あなたの家族を殺したのは爆山ばくざんというヒーローです」

俺は狂ってしまったのかもしれない。

いきなり会った奴のこと言ったことを信じるなんてありえないのに、なぜか与一の言っていることを信じてしまう。

このぽっかり空いた心の穴を埋められるかもしれないと思ったのだ。

俺の中の何かが切れた。


「そいつ殺したいです」


「ようこそヴィランズへ」


俺はヴィランズという組織に入ることになった。


「じゃあこれから僕らのアジトに向かいます」


歩いて30分ほど経つと、あるハンバーガー屋に着いた

「ここ?」

「はい。どうぞ」

ハンバーガー屋の地下に行くと男性が二人と女性が一人いた。


「紹介するよ。今日からヴィランズのメンバーになった黒乃くんだ」


「黒乃です。よろしくお願いします」


「じゃあ自己紹介して」


「俺は龍美りゅうびだ。よろしく」

ガタイが良くて高身長。

男が憧れる男という感じだ。


莉音りおんです。よろしくね」

黒髪ロングの美人。


「俺は朝日あさひや!よろしくな!」

明るい人だったが目の奥は暗い。


「そして改めて与一です。よろしくお願いします。ここにいるみんなは家族を殺されて、ヒーローに復讐したいと思っている」

こんなにヒーローに殺された人がいたなんて。

ヒーローに対する憧れは完全に消えていた。


与一「じゃあこれから俺たちヴィランズの作戦を発表する」


龍美「やっとか」


与一「まず、僕たちは全員で英雄学園に入学する。入学試験は半年後。その試験に受かり入学し、能力を手に入れ、英雄学園を卒業してエースに入社する。そしてヒーローを殺す」


朝日「なんか燃えてきたなぁ!」


その日から俺たちは入学試験に備え、週に3回筋トレを続けた。


そして半年後、入学試験当日となった。






あとがき

数ある作品の中から僕の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます。面白いと思っていただけたら、ぜひ星よろしくお願い致します。

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ヴィランズ 黒隼 @kokushun

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