新たな仲間

 マナ達がシアーノ伯爵の居城に初めて泊まってから二日後ルシアス達四人とクレメンテと三人の衛兵達が伯爵の城へと着いた。

シアーノ伯爵はクレメンテの無事を喜び、またクレメンテもシアーノ伯爵と会ったことに喜び娘のリータを保護してくれた事に

礼を言った。


 クレメンテはシアーノ伯爵の傍に常にいるはずの夫人であるサキが居ない事を疑問に思い尋ねた。シアーノ伯爵はある日突然妻であるサキと娘であるサヤが姿を消したことを話すと二人を探しに来たアヤとシスイをルシアス達に紹介した。


「こちらは紫国の王女アヤ殿下と親衛隊長のシスイ殿だ」


「私は紫国の天王家親衛隊のシスイ・カムラと申します。こちらは天王家の血筋イスルギ家の姫であらせられるアヤ・イスルギ殿下でございます。」


 「アヤだ。よろしく。」


 シスイとアヤが挨拶したあとアルマが自身やマナそしてリータの危機をアヤに救われた事をルシアス達に話した。ルシアス達四人はその話を聞いてアヤに感謝の意を伝えて自身達の素性や旅の目的をシアーノ伯爵やアヤ達に話した。ルシアス達の話を黙って聞いていたアヤはルシアス達が追う魔族の事に特に興味を示して特徴や目的などをルシアス達に詳しく聞いていく、ルシアス達の話が一通り終わるとシスイが一言つぶやいた。


「我が紫国に伝わる妖魔と特徴が似ていますな、、、。」


 「アヤ姫から聞いたお話で私もそう思いました!」


 シスイとアルマの一言を聞いたルヴェーラは疑問を口にした。

 

 「妖魔とはいかがな存在でしょうか?」


 「遥か昔に何処かの大陸から来て我が紫国に脅威を与えた者達の事です。白髪に血のような赤い瞳を持ち強大な力を持ったその妖魔の長の最後は天から授かったとされる護神刀とそれを手にしたイスルギ家の祖であるトウヤ・イスルギ様が命を捧げて封印したとされています。」


 (特徴は似ている、、、もしわたし達が追っている魔族と紫国に伝わるという妖魔が同じ存在なのだとすると仲間の復活が目的であの魔族もこの島に来ている、、、、?)


「妖魔の封印された場所とその封印の解き方はご存じでしょうか?」


 「封印を解くすべは分かりませぬが封印された場所は我が国とエスト王国の間にある島と伝えれています。」


 「ふむ。私達が追う魔族と同じ者達かもしれませんね。」


 「カルロ叔父様、サキ叔母様とサヤの消息が分かるかもしれません。私はこの者達に同行しようと思います。」


 アヤの一言にシスイは慌てて止めようとするがアヤは聞き入れなかった。


 「姫様、どうしてもと仰るならせめて親衛隊の者達を共にしてくだされ。」


 「シデン一人でいい。他の親衛隊の者達にはこの国の内情や二人の居所を探らせる。ルシアス殿、私も同行させてほしいがよろしいか?」


 「私達は構いませんが、、、、、」 


 ルシアスがアヤを心配するシスイを気に掛けるとアヤはシスイに言った。


 「サヤと叔母様の為に頼む。シスイ。」


 シスイはため息をついてアヤの思いをくむとシデンにアヤの事を必ず守る様に言ってルシアス達にも頼んだ。


 「ルシアス殿、貴君らはこれからどうするのだ?」


 シアーノ伯爵の質問にルヴェーラが口を開いた。


 「妖魔と呼ばれる者の封印された地に行ければいいのですが、船は使えないしこの国から出るのも難しいですね。」


 「それならば一つ頼まれてくれれまいか?」


 「出来ることならば、どのようなことですか?」


「このエスト王国の中立の貴族達は皆シンビス殿下とメリオス殿下の争いを望んではいない。貴族の多くは正当な後継者は兄君であるシンビス殿下と思っている。しかし権力の掌握を望む宰相ラファールには賛同していない。ラファールに対抗するためマラガン公はメリオス殿下を後継者として対抗したのだろうがそれにも我らは賛同できない、、、がマラガン公はまだ分別のある諸侯だと私は思っている。そしてアルバ侯とサヴィーニ伯は恐らく野心高いアダイト大公と手を結び自ら王になろうとしているだろう。私とクレメンテは中立の貴族達とアダイト大公の侵攻に備えて同盟を結ぼうと思う。ルシアス殿達には私からの書状をマラガン公に渡してほしい。」


 「分かりました。」


 シアーノ伯爵の願いを聞いたルシアス達はそれを承諾するとシデンが案内役も兼ねると申し出る。 アヤとシデンを仲間に加えたルシアス達は次の日シアーノ伯爵の書状を持ってマラガン公の元へと向かった。

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