第34話
「……ついてねぇ」
一度その存在に気付いてしまえば思いのほか至る所に貼ってあった『生徒会役員募集!』の張り紙に、まるで部員募集の張り紙みたいだ、なんて思い始めること数日。
折り畳み傘を持たず置き傘もしない自分の習慣に小さく溜息を吐きながら一人、大粒の雨を降らす空を見上げる。
高校入学から数か月経っているというのに見た目のせいか口数が多い方ではないせいか、未だに友人と呼べる人物は幼馴染の馨以外にいない。
「雨すごいねー! 傘持っててよかった…!」
「これは流石に傘ないと帰れないよね…!」
雨音にかき消されないようにと少し大げさに声を張り上げつつ傘を広げて大雨の中どこか楽しげに帰宅していく女子生徒二人組の背中を少し羨ましく思いながらスマホのメッセージアプリを起動する。
『風邪引いたので休みます』
今朝、幼馴染から届いたメッセージを今一度確認しスマホをしまってから改めて空を見上げて溜息を零した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます