第34話

「……ついてねぇ」



一度その存在に気付いてしまえば思いのほか至る所に貼ってあった『生徒会役員募集!』の張り紙に、まるで部員募集の張り紙みたいだ、なんて思い始めること数日。


折り畳み傘を持たず置き傘もしない自分の習慣に小さく溜息を吐きながら一人、大粒の雨を降らす空を見上げる。


高校入学から数か月経っているというのに見た目のせいか口数が多い方ではないせいか、未だに友人と呼べる人物は幼馴染の馨以外にいない。



「雨すごいねー! 傘持っててよかった…!」


「これは流石に傘ないと帰れないよね…!」



雨音にかき消されないようにと少し大げさに声を張り上げつつ傘を広げて大雨の中どこか楽しげに帰宅していく女子生徒二人組の背中を少し羨ましく思いながらスマホのメッセージアプリを起動する。



『風邪引いたので休みます』



今朝、幼馴染から届いたメッセージを今一度確認しスマホをしまってから改めて空を見上げて溜息を零した。

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