第10話

「っわ!? すみません俺前見てなく……て……」


「なんか沢山持ってるね、大丈夫?」



振り返りざまに歩こうとしたら、ドンッと誰かにぶつかってしまった。


慌てて謝ると、体育館で聞いたあの凛とした声が、生徒全体に対してでなく俺一人に声をかけていた。



「えと、そんな持ってないっす大丈夫です!」



うわ、会長だ。間近で見ると更にお綺麗…!!


ぶつかったのは申し訳ないけど、俺ラッキーかも。



「地球儀3つと本5冊……と、鍵も? 結構だと思うけど…」



そう、1個ずつかと思いきや、実はこの短時間で地球儀3つと鍵と本を5冊もゲットしてしまった俺。


正直、本をどっさりと持たされたあたりから「くっ…これは俺の使命だ頑張れ!」なんて変なモードに入ってはいた。



「そ、そんなことより皐月先輩お怪我とかないっすか!?」



つーか、そうだよ!


俺、ぶつかってラッキーとか思ってしまったけど、ものすげーぶつかり方した気がする…!



「うん、全然平気。それよりこの本、借りようと思ってたやつだから私が図書館まで持ってっていい?」


「え……」



皐月先輩の言葉に驚き、さっきふと見た本のタイトルをもう一度確認する。

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