「とりあえず犯人がわかるまで、みんなのお昼ご飯は抜きにします。いいですね」とめろんは言った。

「え!?」と驚いて、りんごとれもんとみかんは言った。

「安心してください。さすがにずっとご飯抜きだとかわいそうなので、食べられないのはさっき言ったようにお昼ご飯だけです。私はお仕事に戻りますので、みんなもお仕事をしてください。そして犯人の人はなるべく早く私のところに私がやりましたといいにきてください。いいですね」とにっこりと笑って、めろんは言うとそのままつかつかと歩いて食堂から出て行ってしまった。

「お昼ご飯抜きはきついね」と笑いながらりんごが言った。

「みかん。早くめろんにあやまってきてください」とれもんはみかんを見て言った。

「私は割ってません。食堂にもはいっていません!」とちょっと怒ってみかんは言った。

「まあ、まあ。でもさ、じっさいどうなんだろうね? めろんの言いかただと僕たちの誰かがお嬢様のカップを割ったと思ってるみたいだったけど、実際にだれもお嬢様のカップを割ってないんでしょ?」とりんごは言った。

 りんごの言葉にれもんとみかんは「割ってないよ」「割ってません」と言って、うなずいた。

「僕も割ってない。じゃあ、いったい誰が割ったんだろう? お屋敷にはお嬢様と僕たち四人のメイドしかいないはずなんだけどな」とうーんと難しい顔をしながらりんごは言った。

「誰でもないんじゃない? りんごがさっき言っていた通りに自然に割れたんだよ。骨董品のカップだったし、お嬢様の紅茶が熱くて割れちゃったんでしょ?」とれもんは言った。

 みかんは割れてしまったというお嬢様がいつも使っているお気に入りの白いカップのことを思い出した。あのカップが割れてしまったのなら、きっとお嬢様は悲しんでいるのだろうなと思った。

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