3
「僕はずっと洗濯をしてました」とりんごは言った。
「私はお風呂掃除をしてました」とれもんは言った。
「えっと、私はお庭と正門のところをお掃除してました!」とみかんは言った。
「私はお嬢様のお部屋を綺麗にしていました。朝ご飯のときはお嬢様のカップが割れていなかったのはみんなが見ていますね。では、朝ご飯のあとで食堂に入った人は誰かいますか?」
めろんの言葉にはいという人はだれもいなかった。(お嬢様は割れてしまった白いカップで朝ご飯のときに紅茶を飲んでいた)みんな食堂にははいっていないらしい。
すると、めろんは明らかに怒った顔をした。
「ではどうしてお嬢様のお気に入りのカップが割れてしまったのだと思いますか?」とめろんは言った。
「自然に割れたんだと思います。古い骨董品のカップでしたし、きっと寿命だったんだと思います」とはい、と手をあげて、りんごは言った。
「どこかから、野良猫でもはいってきて割ってしまったんじゃないんですか?」とりんごと同じように手をあげて、れもんはみかんを見て言った。
「あ、え、えっと……」みかんもなにか言おうと思ったのだけど、なにも食器が割れた理由は思いつかなかった。
みかんはちらっと食堂の時計を見る。現在の時間は朝の十一時。朝ご飯が八時だから三時間がたっている。その間に誰かがお嬢様のお気に入りのカップを割ってしまったことになる。(誰だろう? れもんかな? と思っていたずらっ子のれもんを見ると、れもんは視線に気が付いてみかんをみて、小さく舌をだしてあっかんべーをした)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます