目の前にいた奇跡を呼ぶ女の子
蜂鳥タイト
目の前にいた奇跡を呼ぶ女の子
2045年1月25日。
僕の名前は
今現在、大変な状況になっている。
その理由は、目の前に雨に打たれている女の子がいたのだ。
服は汚れ、髪はボサボサ。
泣きながら僕の方を見つめてくる。
顔はとてもかわいい。
制服のままなので、僕と同じ高校1年生くらいだろうか?
とりあえず、このままだと風邪をひいてしまうので、家に連れて帰ることにした。
その女の子は、風呂に入り再び姿を現す。
まさか全裸で出てくるとは思わず、僕は慌てて服を持ってくる。
女の子はお礼を言うと、そのまま傘をさして帰って行った。
2045年6月11日。
目の前には彼女がいる。
1ヶ月ほど前だろうか? 雨に打たれていた女の子だ。
今日は2人で、買い物に行こうと約束した。
ということで、これから出かけようと思う。
彼女は結構なアニメオタクらしく、フィギュアコーナーをまるで子供のように見回っている。
僕はアニメにそんなに興味はないが、彼女がこんなに楽しく見ているのならば興味がある。
今度、機会があれば見てみようと思う。
彼女はフィギュアを指さしている。
せっかく楽しそうなのに払わせるわけにはいかないので、僕が代わりに払うことにした。
彼女は驚いたような顔をしているが、僕は笑顔で返しておいた。
その時の彼女の笑顔は、僕は忘れない。
2045年6月12日
目の前には彼女がいた。
目を閉じてベッドに眠っている。
隣にある机には、昨日買ったフィギュアが折れて壊れていた。
聞いた話だと、僕と買い物を行った帰り、信号無視してきた車に撥ねられたそうだ。
頭を強打しており、今後目を覚ますかどうか怪しいらしい。
また、目を覚ましても記憶が残っているかは保証できない。とも言っていた。
奇跡が重なれば、もしかしたら希望があるらしいのだが。
僕はそれを聞いてゆっくりと眠っている彼女の手を両手で握りしめた。
手は温かく、しっかりと血液も通っている。
僕はただ奇跡が起こることだけを願って。
2055年12月26日。
僕は日差しとともに目を覚ます。
親元を離れ、今は別で暮らしている。
今日で26才になった。
そう、僕の誕生日である。
僕はゆっくりと台所に降りていく。
すると、目の前には妻がいた。
その妻は、僕にやさしく微笑みかける。
「お誕生日おめでとう! 朝ごはんできてるよ」
妻の言葉に僕たちは向かい合って椅子に座った。
間の机の上には、折れたフィギュアと、もう1つ新たに購入した全く同じフィギュアが、置かれている。
決めた。僕はこれからも、大好きな妻と一緒に生活していこうと思う。
目の前にいた奇跡を呼ぶ女の子。おしまい。
目の前にいた奇跡を呼ぶ女の子 蜂鳥タイト @hatidori_taito
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