MURDER RAVEN

リセット

第1話 暗殺組織RAVEN

「もうこんなに経ったんだな...」

「そうだね。なんか早かった気がするし、すっごく長かった気もする。」

 強い風が吹き、瞬きをすると目の前に白いカラスが飛んで来た。

「・・・もう、大丈夫ですよ。」

 そうカラスに言うと、しばらく二人を見つめた後に空へと羽ばたいて行った。

空を飛ぶ白いカラスを眺めていると、小さな手が指を掴んでくる。その手の先を見ると、眠そうな顔をした子供が言う。

「いつまで、ここいるの?」

「帰ろっか。眠い?」

「うん...」

「じゃ、行こうか。」

 小さな手と繋ぎ慣れた手を握り、綺麗な墓を後にする。




 初めて夢見たのは、小学生の時。ここに来るまで長い道のりだった。でも、まだだ。

本当の目標は、「世界一の暗殺者」になることだから。

颯斗はやと〜!」

 聞き馴染みのある声が、後ろから聞こえてくる。振り向くと水色髪の女が笑顔で走りながら向かってくる。

その少し後ろを歩く金髪の男が言う。

寒菜かな、危ないから走るな。」

「いいじゃん!私は、選ばれし者なんだから!」

 腰に手を当ててドヤ顔をしながら寒菜は言った。

煌壱こういち、お前も合格したのか?」

「ここにいるってことは、そういうことだ。」

 三人で雑談をしているとスーツを着た女性が、目の前の扉が出てくる。

「改めまして、試験合格おめでとうございます。では組織内の説明等をしますので、こちらに。」

 言われた通り、部屋の椅子に座る。机に置かれた資料を見ながらスーツの女性の説明を聞いた。

 政府公認暗殺組織RAVEN。それがこの組織の名前だ。急激に増加した犯罪者やテロリスト、それらに対応する為に警察とは別に作られたのがこの暗殺組織RAVEN。

「次にコードネームについてですが、希望はお決まりでしょうか?」

「私、吹雪がいいです!」

 寒菜がそういうと続いて、煌壱も言った。

「俺はレクで。」

「お前らよく決められるな...あ、じゃあゼロでよろしくお願いします。」

 三人のコードネームを聞き、しばらくの間手元のファイルを見た後、女性は「では、そちらで決定になります」と言い資料に三人のコードネームを書き込んだ。

 説明が終わり、三人は組織の建物内にある寮に向かった。寮の部屋は一人一部屋になっており、男女で別々のフロアに分かれている。



ー翌日ー

 正式に組織に加入してから初日。颯斗は早速任務へ行くことに。

RAVENでの任務は二人一組が原則。颯斗は寒菜と組むことにした。煌壱は、同じ時期に試験合格した人と組むことに。

 そして現在、約束した集合時刻から三十分が経過した。しかし、寮の中央広場に寒菜の姿はない。

いつも通り寝てるんだろうな。そう思いながら、寒菜に電話をする。

「出ない...直接起こしに行くか。」

 男女で寮が別れているものの、寮間の行き来は自由。寮内は部屋やトイレ以外の場所全てに監視カメラが設置されているし、もしも何かあっても寮長がいる為、安心。ということになっている。

 女性寮へ行き、寒菜の部屋のドアを開けると案の定、玄関に寒菜の靴があった。

呆れながら靴を脱ぎ、部屋の奥に進んでいくと、幸せそうな顔をしながら寝間きを着て寝ている寒菜が居た。

「ほんと、お前が一人暮らししてなくて良かったよ...起きろぉ!!」

「っ?!ん?・・・颯斗?」

「お前、今何時だと思ってんだよ。」

 そう言われると、寒菜はしばらく部屋の時計を見つめた。すると、颯斗の目をしばらく見たあと、申し訳なさそうに言った。

「ごめんなさい。」

「さっさと支度しろ。中央広場で待ってるから。」

「はい。すいません。」

 ため息を付きながら寒菜の部屋を後にする。


 しばらくして、寒菜が中央広場にやってきた。

「本当に申し訳ございません!」

「別に、もういいよ。行くぞ。」

 そう言うと、寒菜は颯斗の顔を見ながら言った。

「やっぱり、颯斗って優しいねっ!」

「うるせぇ」

 少し顔を赤らめながら言うと、余計に顔を見ようとしてくるので、突き放した。

「これから初任務なんだから、気を引き締めてくぞ。」

「はいはい。ちゃんとやりますよ。」

 そして二人は任務管理人の元へ向かった。

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