すぐに終わる

霜月 識

         すぐに終わる

 「( ゚д゚)ハッ! ( ゚д゚)ハッ! ( ゚д゚)ハッ! ( ゚д゚)ハッ!」

 全力で走っている。一生懸命に走っている。

 なぜなら遅刻しそうだから。

 「うおー!!!」

 一生懸命に走っているが、別に曲がり角を曲がったらなんて恋愛に発展することはない。

 ただ段々と変な人が集まっている。犬に引っ張られている人。奇行種走りの人。オートバイをバックで走っている人。ベビーカーをスケボーのように乗りこなす人。

 みんな遅刻しそうである。

 「そこの人。何に遅刻しそうなんだい?」

 「え?迎え」

 そうやって、全力疾走を続ける。

 残り200mちょい。行ける。

 交差点の信号は青。ここでラストスパート!

 1ハロン11秒台のこの足なら!

 「うおー!!!!!」

 思いっ切り駆け抜ける!

 よし、あとはここの曲がり角を曲がれば!

 バッ!

 前からワゴン車が。

 ニコッと笑い、

 ドバンッ!と音がした。

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すぐに終わる 霜月 識 @shki

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