転生したら特撮のヘンシン系ヒーロー物語のラスボスになってました。とりあえず推しを守る為に力を行使します。
最悪な贈り物
第1話 え?俺が…ライダー?
暗い部屋。
青く光るパソコンの光。
そして、その前に一人の男。
ヒロシ「くぅ~!!!やっぱりトランスライダーはかっこいいねぇ〜!!!」
画面に映った特撮ヒーローのようなスーツを身にまとった人物。
それを見て悶える笹川ヒロシ(45)
ヒロシ「専用のベルトを使って変身!そして、悪党と戦う!そそるね〜!!主役の熊崎大和さんの演技も相まってるし!これがトランスライダーの最高峰なんて言われる所以がよくわかるよ〜!!!」
画面の中の大和『これで最後だ!!!』
そう言いつつ、スーツを纏った大和は敵に向かって指先を向ける。
ヒロシ「はぁ…マジで…40にもなってなんでこんな事になってんだろ…」
ヒロシはパソコンから、CDを取り出し、そしてケースに入れる。
ケースには、今日の日付が刻まれており、その上には締切日のしっかり記載されている。
ヒロシ「さてと…これ…返さなきゃだな…」
ヒロシは一階へと移動する。
そして、ヒロシの耳には襖から漏れる音が聞こえた。
ヒロシ母「ほんとぉ…どうしようかねぇ…」
ヒロシ父「ヒロシは…あれでも頑張って生きているんだ…」
ヒロシ母「でも…そろそろ…結婚とか…ねぇ?」
ヒロシ父「ヒロシは…頑張っていた…でも、無理だったんだ…就職も上手くいかずに…自信を失ってしまった…そんなヒロシを放っておいた俺達、親に…何か言えることがあるのだろうか…」
ヒロシは口を噛みしめる。
そんな雰囲気が嫌で、ヒロシはジャージ姿でCD片手に静かにその場を去った。
ヒロシ(お父さんも…お母さんも…どちらも優しい。こんなニートの俺を…何も言わずに居座らせてくれて…毎晩飯も食わせてくれる…なのに…俺は!!!!)
ヒロシは信号を待ちながら、CDを強く握りしめた。
ヒロシ「あぁ…クソ…こんな俺に何か出来る事があるんだったら…!!!母さん達のために…!!!」
ヒロシは強く拳を、握りこむ。
ヒロシ「せめて…バイトでも……」
ヒロシはそう思いながらも、信号を渡る。
「あ、危なーい!!!!!!!」
ヒロシ「え?」
ボォォォォン!!!!!!!
ヒロシ「ぐっ…ぶはぁ!!!!!」
ヒロシ(い、痛い!!!!な、なんだ…これは!?頭が…!!ふ、震えてる!!!!!はっ!?ち、血!?あ、頭から失血してる!?)
「だ、大丈夫ですか!!?い、今すぐ救急車を!!!!」
ヒロシ「え…?は、は…?」
ヒロシは首が、動かないので、目線だけを滑らせると、前の面が歪んだトラック。
ヒロシ「も、もしかして…ひ、轢かれた…?」
ヒロシ(め、目の前が…段々と…)
「だ、大丈夫ですか!?!?い、意識を保ってください!!!!」
ヒロシ(この人…美人さんだなぁ…俺が…こんな醜いのに…優しい人…だ……死亡保険……出るかなぁ………)
「あ、ああああ!!!!!!!」
ヒロシは、そのまま、瞳が重くなり、永遠の眠りへと着いてしまった。
________________________________
???「ちょう……!!社長!!」
ヒロシ「ん………ん?んん……うわぁ!!!!」
ヒロシは体制を崩し、机から落ちた。
ヒロシ「こ、ここは…?」
???「社長…忘れたのですか?」
ヒロシ「え…あ、貴方は…」
???「私ですか?私は貴方の秘書。暁ヒマリですけど?」
ヒロシ「あ、暁ヒマリ??それってトランスライダーの?」
ヒロシ(こ、この人って…トランスライダー暁ヒマリ役の、浜崎絢さん!?!?な、なんでここに!?!?)
ヒロシは目を擦る。
ヒロシ「あれ?と、時計?え?す、スーツ??」
ヒロシは目を擦った手での装飾をまじまじと見つめると、周囲に目を向けた。
ガラス張りの最上階。
その向こうには起眞市のような大きなビルの大群。
見覚えもないが、見覚えがある。
ヒロシ「こ、ここって…エコノミーサイエンス?あの…!!トランスライダーの?」
ヒマリ「トランスライダー?なんですかそれ。」
ヒロシは、ヒマリの顔を一度、凝視した後、最上階に設置された一枚のガラスへと近ずく。
すると…
ヒロシ「は、は!?な、長嶋さん!?」
ガラスに映った自分の姿を省みる。
ヒマリ「ど、ど、ど…どうしたんですか…?」
ヒロシ「あ…いや…な、なんでもない…」
ヒロシ(確かに…俺はあの時…死んだ筈だ…でも、実際俺は…おそらくトランスライダーの世界線…そして…)
ヒロシは、先ほどまで寝ていた机に近づくと、タンスの上から2番目のパスコード付きの引き出しを見る。
ヒロシ「ま…まさかな…」
ヒロシは、そのパスコード付きの引き出しに1231と入力する。
すると
ガチャ!
ヒロシ(開いた………)
引き出しを引くと、そこには、黒いクッションで敷き詰められた、悪魔の口が付いた歪な機械。
ヒロシ「ほ、本当に…ある…」
ヒロシは、歪な雰囲気を漂わせるそれを両手で持ち上げた。
ヒマリ「そ、それは?」
ヒロシ「こ、これは…ゴクリ…」
ヒロシ(ずっしりと重い…まるで脈打つように振動が手に伝わる…)
片手でヒロシはその機械を持っていると、クッションに詰められたもう一つの四角い物を持ち上げる。
それには二つの穴が掘られていて、左側の穴は目の瞳のように、薄暗く輝いている。
ヒロシ「デーモン…ベルト…!!!!」
ヒマリ「で、デーモンベルト…?」
ヒロシ(い、家で…散々練習した…やってみるしかない!!!!)
ヒロシは、そのデーモンベルトを左手で顔の横に掲げると、腰あたりに押し当てる。
ズグウウウウウウン!!!!!
そしてベルトの帯が腰を巻きつけ、しっかりと固定される。
ヒマリ「こ、これって………」
そして、次の瞬間、ヒロシの周りから闇のオーラが放たれ始めた。
それにヒマリは震え上がる。
ヒロシは右手に持ったカセットテープのような物をトントンと2回指で叩いた。
『デーモン!!!』
そのカセットテープから悪魔のような嗄れた声が吐き出されると、ヒロシはそのカセットテープを左手に持ちながら、左右に腕をグルングルン!!と一回ずつ振り回し、右手でデーモンベルトのスイッチを押す。
すると、頭のような場所が開き、カセットテープをその中に差し込んだ。
そして、開いたデーモンベルトを閉じる。
『トランスライダー!!!!デーモン!!!!!』
嗄れた声がそう告げると、ベルトのクリアパーツのような部分から、黒い涙のようなものが、溢れ出し、地面へと滴る。
その液体は、すぐさま、地面へと広がった。
ヒロシ「変身!!!!!」
そして、今度は、左のスイッチを押すと、『RRRRRRRRRRRREPLAY!!!!!』と悪魔の声が流れ、そして、床に滴る黒い液体が、ヒロシの体を包む。
ヒロシ「ぐ…!!!!ぐああああああ!!!!!!!」
まるで引き寄せられるように引っ付くと、頭にはピンク色の瞳のようなクリアパーツ。そしてプラスチックのように輝く黒いボデイ。
ヒロシ(ま、間違いない…俺は…トランスライダーのラスボス…トランスライダーデーモンの羽島隆之助に転生してしまっている…おまけに顔もイケメン俳優賞をこの前受賞した、長嶋史也さんだし………俺は…転生して…そしてイケメンに転生しただけでなく、物語のボスとして転生してしまったのか!?!?)
ヒマリ「しゃ、社長…?そ、その姿は…?」
ヒロシ「え?ああ…こ、これはです…ね……」
ヒロシは、右に着いたボタンをもう一度押し、カセットテープをベルトの中から取り出すと、体に着いたスーツは液体のように蒸発して弾け飛ぶ。
ヒロシ「こ、これはなぁ!!!さ、最近のおもちゃなんだ!!そう!!高性能のね!!!!」
ヒマリ「そ、そうなんですか…で、でもうちって…コンピューターの開発する会社ですよね…?な、なぜそんなものを?」
ヒロシ「えーっと…ああーそうだな…何かいい案…あっ!そうだ!!!少し前にそういう会社の社長からもらったんだよ!!俺さ、こういうの好きだからな!!」
ヒロシ(あれ…?羽島ってこんなだったっけ?ま、まあ…いいか…)
ヒマリ「そうなんですね…」
ヒロシ(騙せた!!!!)
ヒマリ「そういえば、この前契約した会社から連絡がありましたよ。」
ヒロシ「れ、連絡?なにそれ……」
ヒマリは、抱えていたiPadをヒロシの方へと傾けた。
ヒロシ「うわっ………」
iPadに映し出されていた画面には赤い目をした狼の姿。
ヒロシ(エレクトリック社………かぁ………)
会社説明
エレクトリック社
表では、化学製品などを主に扱っており、色々な科学製品を医療の場や、あらゆる場所へと提供する。
しかし、裏ではトランスライダーの敵、メモリアースを製造するための薬、闇カセットを提供するトランスライダー第1章の中ボスポジションの会社である。
ヒロシ「えっと…これって…」
ヒマリ「招待状ですよ!!パティーのですね!!」
ヒロシ「ぱ、パティー…あ、あはははは…」
ヒロシ(トランスライダー、第13話…闇の協定……羽島隆之助、率いるエコノミーサイエンスがエレクトリック社が、主人公たちを殺そうと協定を結ぶ回……この時初めて、ラスボスの存在が現れて、そして、エコノミーサイエンスと、エレクトリック社が協定を結ぶことによって…最終的にはトランスライダーのヒロイン…村山咲希さん演じるファイデンが死んでしまう未来へと進む回………)
ヒロシ「わ、わかった……そのパーティー…出席するとしよう……」
ヒロシ(俺の推し、ファイデン…男性人気一位を掻っ攫い、そしてファイでんを演じる村山咲希さんは、少し前に結婚したい女優ランキング第1位を獲得…もう、説明は不要……今回の話で、エレクトリック社がエコノミーサイエンスと協定を組むことによって、エレクトリック社の産んだ怪人、ベクトルがヒロインを殺してしまう未来へと直結する…お、推し…位は守っても良いよな…?)
ヒロシはそう思いながらも、デーモンベルトと、カセットテープを机の引き出しにしまった。
ヒロシ(よし…わかった…俺はこの世界では…ただの無職からの下剋上を果たしてみせる!!!!!絶対にだ!!!!!!!!)
___________________________________
美術館のように広い白い石で作られた空間。
ヒロシはそこに居た。
ヒロシ(さてと…この招待状に書かれた場所に来てみたけど…まさかこんな場所だったとは…えーっと…ここから少し離れた倉庫…に行くんだよな?まぁ、CDで見た情報だけど…)
ヒロシは周りに居るスーツ姿の他の招待客を見回すと、片手に持っていたブリースケースにちょいと視線を移した。
ヒロシ「行くか…」
ヒロシは、ファンブックに書いてあった、舞台の地図を思い出しながら、歩いた。
そして、たどり着いた場所は、暗い暗い、カビの匂いが充満ている。
ヒロシ「さぁ…誰か…居るか?」
???「おやおや…一人で来るとは…随分と舐められたものですね。」
ヒロシ「っ…!!!バルシミー…」
ヒロシ(バルシミー…エレクトリック社、代表の人物で…闇のトランスライダー、トランスライダーベリアル…ここではバルシミーは、大群を連れて羽島率いる、エコノミーサイエンスと協定を結ぶ。)
バルシミー「それでは。例の契約…結んで頂けるでしょうか?」
ヒロシは、自分の片手に持っているブリースケースを握った。
ヒロシ(や、やるしかない…推しのために!!!)
バルシミー「それが契約に必要なものですか?」
ヒロシ「け、契約…ねぇ…すす…少し気が変わったんだ……お前らは…ここで倒す!!!!」
バルシミー「ど、どういうことでしょうか?」
ヒロシは、ブリースケースを開けると、中からは黒く光を反射する悪魔のベルトが出てきた。
バルシミー「そ、それは!?っ…!!!どうしてこの契約を破棄するのかはわかりませんが…仕方ないですね!!!!で、出てきなさい!!!!」
すると、倉庫の壁から大人数の仮面を被った集団が出てきた。
バルシミー「こちらも…対抗するしか無いようです!!!!」
バルシミーは、何処からか出したのか、ベルトのような物を握っていた。
バルシミー「私…いや、私たちの実力を見せてあげましょう!!!!」
バルシミーは、腰にベルトを巻き付ける。
ヒロシ(あれは…主人公達の使う…ヒーローベルト…)
バルシミー「さて…処刑の時間です…!!!」
バルシミーは、着ていたスーツの内ポケットから、手のひらサイズのCDの収納ケースのような物を、取り出した。
そして、そのCDのケースを、ベルトの、両サイドの2つの刃に1つずつ装填。
バルシミー「変身!!!!」
そう言いながら、バルシミーは、ベルトに付いているレバーを右から左へと、開く。
『ヒーローベルト!!!!!!ステッキ&ブック!!!!エクセレント!!!!!トランスライダー!!!ウィザード!!!!!』
そして、ベルトから放たれる音波のような物で、姿を変えるバルシミー。
ヒロシ(あれは…ダークライダーのウィザード…!!!!)
ヒロシは、デーモンベルトをブリースケースから取り出し、このために用意した4つのカセットを取り出した。
そして、ヒロシは無言でベルトを取り付ける。
『デーモンベルト!!!!!!』
嗄れた悪魔のような声。
そして巻き付けられたベルトからは、とてつもない威圧感とオーラ。
ヒロシ(やるしかねぇ…!!!!)
ヒロシは、カセットテープを、2回、トントンと指で叩き、ベルトに作られた2本の角の片側を外側に開く。
『デーモン!!!!!』
そう告げられ、ヒロシはベルトの中にカセットテープを装填。
ヒロシ「変身!!!!!」
『トランスライダー!!!!デーモン!!!!!』
嗄れた声がそう告げると、ベルトのクリアパーツのような部分から、黒い涙のようなものが、溢れ出し、地面へと滴る。
その液体は、すぐさま、地面へと広がった。
そして左の角を押し込む。
『RRRRRRRRRRRREPLAY!!!!!』
地面に広がる黒い液体がヒロシの体を纏わりつかせる。
ぐちゃぐちゃとした感触が体を伝ってきた。
ヒロシ「ぐっ…ぐああああああああああああ!!!!!!!!!」
脳に痛みが響き渡り、そして、それに耐えられず、ヒロシは、声を上げてしまったが、スーツに身を纏い、目をギラつかせるヒロシは、まさに、ラスボス。
羽島隆之助だった。
ヒロシ「じ…地獄の果てへ…ようこそ…!!!」
バルシミー「な、な、な!!!!!何が地獄の果てだ!!!!!行くぞ!!!!!」
「うがぁぁぁぁ!!!!」
ウィザードの能力、傀儡によって、化け物へと姿形を変えた、バルシミーの部下。
そいつらが遠慮なく、走り寄る。
ヒロシ「こ、これであっていてくれ!!!!」
ヒロシは、願うように、もう一度、ベルトの角を一度、開きカセットを取り出し、カセットの一つを、装填。
そして、開いたままの角を内側に戻す。
『SSSSSSSSSSSSSSKIP!!!!!!!』
悪魔の声が告げた。
バルシミー「そ、そんな小細工が!!!通用するとでも思っているのか!!!!!?」
と、次の瞬間。
ザァァァァァァァン!!!!!!
「ぐ、グァァァァ!!!!!!!」
バルシミーの部下は唐突に、炎を倉庫内に、散りばめる。
バルシミー「な、なんだ…どういうことだ!?」
バルシミーは、正面を向くと、そこには、先程までいた筈のヒロシの姿が見当たらなかった。
ヒロシ「で、出来た…!!!」
そして、後ろをふりむいた時。
初めてその姿が、瞳に映る。
バルシミー「ど、どういうことだ!?い、一瞬で!?」
ヒロシ「と、トランスライダーデーモンの力…それは時を操れることだ…」
バルシミー「と、時を!?」
ヒロシ「そしてスキップは…相手の時間を10秒スキップさせる…つまり…俺にとっては10秒間君たちが全く動かないように見えるだけだ!!!!」
バルシミー「な、なんだ__」
『SSSSSSSSSSSSSSKIP!!!』
ザァァァァァァン!!!!!
バルシミー「_と…!!!!!?」
そして次の瞬間、バルシミーが、倉庫の中で、爆発した。
ヒロシ「こ、こんな簡単に…」
ヒロシ(これがトランスライダーラスボスの…デーモンの力!!!!)
ヒロシは、ベルトを外し、それをじっと見つめていた…
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