第2話 気の緩みは誤りの元
二年生の二学期になり学校の体育館でバスケの試合が行われるとクラスの友達が言っていた。
例によってまた、隣の子が声を掛けるのかと思ったけど掛けて来ない。ホッとしてると普段仲のいい女子、前島さんが、
「石井さん、今度の日曜日体育館でバスケやるんだって。見に行かない。男バスのキャプテン、イケメンでカッコいいから見ようよ」
「うーん。バスケ興味無いけどなぁ。博之と相談してみる」
「そうだね、分かった。後で返事聞かせて」
「うん」
午前中の授業が終わり、私は二人分のお弁当を持って博之のクラス2Aに行った。
「博之、お昼」
「おう、待っていた。学食行くか」
「うん」
学食に行って、窓際の二人席で食べていると
「美優、今度の日曜日、体育館でバスケの試合が有るんだって。知ってる?」
「うん、前島さんから誘われている。一緒に見に行かないかって」
「俺も同じクラスの奴から誘われててさ。恭二は行かないって言ってるし、どうしようかなと思ってたんだ。」
「博之が行くなら行くよ」
「今週の日曜日か、特に用事入ってなかったよな」
「うん」
「じゃあ、見てみるか。バスケ全然知らないけど」
土曜日の午前中、博之の部屋で楽しいことしながら
「明日の件だけど、本当に行く?」
「うーん、何か気が進まないよなぁ。バスケ興味無いし」
「でも、前島さんに行くって言っちゃった。校門に午前九時待合せ」
「そっかぁ、じゃあ付き合うか」
「博之、来ないと駄目だよ」
一年で博之と一緒で無い日なんてほとんどない。だから傍に居てくれないと不安だ。
結局、俺と美優は午前九時に校門に行くと、前島さんとその友達が二人で待っていた。
「あっ、石井さん、長田君」
「おはよう前島さん」
「早速だけど、行こうか」
「うん」
美優とクラスが別れて心配だったけど前島さんとの仲は続いている様だ。ちょっとホッとする。
体育館に行くと直ぐに二階に上がった。結構な見学者が居る。ゴールに近い席は結構埋まっている。
俺達は真ん中あたりの席に座った。下を見ると四校のチームが来ている様だ。
「四校でトーナメント戦やるんだって」
「トーナメント戦?」
「良く分からないけど、例えばAチームとBチームが戦って、勝った方がCチームとDチームの勝った方のチームと試合するんだって。それでそれぞれの負けたチームも試合するんだって」
「結構大変じゃない」
「全部で四試合だから一試合一時間位として四時間。お昼挟むから午後三時位までやるんじゃない?」
「へーっ、大変だな」
最初は、うちの長尾高校と
見ていると十分間戦って二分休んでいる。前島さんがそれをクォーターって言っていた。
ドリブルしてゴールへシュートするゲームだけど結構体がぶつかったり、ゴールの直前でジャンプしてシュート、その後何故かゴールにぶら下がってる選手もいる。
でもとても遠い所からロングシュートを決める選手もいる。なんか凄いなぁと思って見ていると博之が
「すげえなぁ。あんな事も出来るんだ。身長が違うのも分かるけど全然ボールを見ていないのに自由に操っている」
それを聞いた前島さんが
「長田君もやってみたら?」
「身の程わきまえているから止めとくよ」
実際、スポーツ系は得意じゃない。まあ見ている分にはいいけど。
第一試合が終わった。うちの学校の選手が二階席に手を振っている。
「石井さん、見て見て。あの背が高くてゼッケン七を付けている選手がキャプテンの
前島さんが思い切りその久保選手に手を振っている。確かにイケメンだけど趣味じゃない。
やがて、午前中二試合が終わり、お昼休憩となった。
「前島さん、お昼どうするの?」
「近くのコンビニで買って、その辺で食べるつもり」
「博之、私達もそうする?」
「ああ、俺は全然構わない」
四人で学校近くのコンビニ行ったけど案の定結構な混みようだ。でも早く動いた所為か、菓子パンとかおにぎり、それに好きなジュースは買えた。
私達が体育館の傍の縁石に座って食べていると
「君達、うちの学校の生徒だよね」
いきなりの男の声に四人で振り向くとさっき前島さんが言っていた久保という人が立っていた。でかい!
「そうです。男バスの応援に来たんです」
「嬉しいな。最後まで頑張るから見ていてね」
「「はい」」
前島さんとその友達が元気よく返事した。
「久保、早くお昼食べろ」
「分かった、今いく」
§久保
俺は試合後、見に来てくれているうちの生徒に手を振って挨拶した時、俺好みの女の子が居た。横に男子も居るので一緒かと思ったけど、その時はそれだけだった。
その後、お昼食べる前に一応見に来てくれている生徒にお礼を言う為に回っていると丁度さっき見た女の子が他の友達と一緒にお昼を食べていた。
直ぐにお礼と確認をする為に近くに行くと、やっぱりとても俺好みの女の子だった。少し話せるかと思ったけど仲間が俺を呼びに来たのであきらめた。また話すチャンスもあるだろう。
§石井
お昼を食べた後、また元いた二階席に行って最後まで見たけど、うちのチームは残念ながら次の試合で負けた。でもなんか格好良いなという思いが有った。
午後三時過ぎに全試合が終わって、四校が並んでお互いに挨拶をした後、二階にいる生徒に手を振って挨拶してくれた。結構サービス精神旺盛なんだな。
あっ、さっきの久保とかいう選手も素敵な笑顔で手を振っている。私もつい笑顔で手を振り返した。
終わったのでそのまま四人で帰るのかと思っていたら前島さん達は、この後用事が有るからと私達と別れた。
「博之、どうだった?」
「うーん、見ていて疲れた。あういう試合って結構見るのも疲れる」
「そうだね。でも結構面白かったね」
「それは、まあな。でも俺はもういいや」
「ふふっ、博之は運動苦手だからね」
「それ言うな。人には向き不向きがあるから」
「そだね」
「前島さん、さっき隣に居た女の子って誰?」
「石井美優って名前の子。私と同じ2Bだよ」
「隣にいた男子は?」
「石井さんの彼氏で長田博之君」
「そうか。石井さんと話し出来ないかな?」
「うーん、分からない。それより久保君」
「そうだな」
―――――
書き始めは皆様のご評価☆☆☆が投稿意欲のエネルギーになります。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます