第40話



大雅がくすりと微笑む。




「まぁ、それを見て、若がキレない方が可笑しいですからね。」



「あぁ、」




キレるなって方が無理だ。





俺の唯一無二になるだろう女が、こんな悪辣な境遇に置かれているんだから。




「若?」


「あ?」


あかつきの君を、迎えに行きますか?」


「…………。」




見上げた先に、真剣な眼差しが俺を射抜く。




あの時から、莉茉の事を大雅は“暁の君”と呼ぶ。





俺の唯一無二の半身だ、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る